私はもともと、集中力が無く、1日に3時間しか勉強できませんでした。
必死に机に向かって教科書を開けるも、途中で頭がボーっとしてしまい、気がついたら夜になっているのです。
「あれ・・・今日、私、何やったんだっけ・・・?」
と振り返ってみたら、たったこれだけしか進んでいないのか!と、あまりの集中力の無さに絶望する毎日でした。
毎日長時間勉強できる人が羨ましいなぁ、
どんどん差が付いてしまうなぁ、
私もあんな風に、濃い1日を送ることができたらなぁ、
そんなことをずっと思っていました。
そんな私の人生を大きく変えたのが、この塾で年に3回やる「京都綾部の合宿」です。
最初見たときは驚きました。
こんなすごい施設を、
「いつでも合宿ができるように、イチから作った」
のだそうです。
しかも、周辺に農地を沢山所有していて、
色んな食材を現地で調達して、食べることができるのです。
ここで、年に3回、
春合宿(2泊3日)・夏合宿(3泊4日)・秋合宿(4泊5日)が行われます。
春合宿では、
「とにかく、ゆったり過ごして欲しい」
と言われました。
皆で、大自然の中でのんびりと過ごしながら、
色んな場所で勉強します。
都会での喧騒を忘れて、
心がどんどん落ち着いていくのを感じます。
ゆったり過ごしているはずなのに、
今までよりも勉強が捗るのです。
一生懸命、机に向かって、やっと3時間しか集中が持たなかったのに、
いつの間にか、ずっと勉強していることに気が付きました。
夕方には、気分転換にウォーキングしたりもしました。
風が本当に気持ち良くて、疲れも吹き飛んで、
そのあとさらに勉強ができました!
いっつも、
「少しでも長い時間勉強しなきゃ!」
と焦っていて、結局全然捗らなかったのに、
こんなにのんびり過ごしているのに、
今までで一番勉強が捗って、さらに元気になっていったのです。
そして、夜は、皆で焚き火をしました。
日本でNo.1の英語の達人と言われる、
松本道弘先生も来て下さって、一緒に語り合うことができて、
本当に夢のような時間でした。
火を見ていると、だんだん頭がぼーっとしてきて、
ふわふわと気持ちよくなってきます。
そして、皆、思い思いに、
自分の心の内を話すようになりました。
ある人は、
「今まで恥ずかしくて言えなかったけど、
俺、こんな夢があるんだよね。」
と言い出して、
皆で「良いじゃん〜!!」と言ったり、
またある人は、
「実は、ずっと隠してたんだけど、こんな悩みがあって・・」
と言い出しました。
それを聞いて先生は、
「ここでは、大自然の中で、身体がゆるむから、
今まで抑え込んでいて、言えなかったことが、どんどん出てくると思う。
皆、過去に嫌な経験だったり、
ずっと言えずに苦しかったこととかあるだろうけど、
全部、この火で、燃やし尽くそう。」
と言って下さり、それぞれが、思い思いに、語り合いました。
焚き火の間は、私はぼーっと聞いているだけでしたが、
「あぁ、なんか、先生になら、私の悩んでいることを
相談できる気がする・・・!」
って思いました。
なので私は、焚き火が終わって施設に戻った時、
先生のところに行って、
自分がずっと集中力が無くて悩んでいたけど、
誰にも相談できなかったことを、コッソリと告白しました。
すると、先生から、驚きの言葉が返ってきました。
「君は、今年1年は、愛され上手になろう。」
私は思わず、「えっ?!」って言ってしまいました。
すると、先生は、ニコッと笑って、優しく語りかけてくれました。
「君はいつも、まわりの目を気にして生きているね。
本当は、悩んでることとか、思っていることを全部話したいと思っているのに、
先生にも、他のスタッフにも言えずに溜め込んでいる。
だけど、ずっとそれを心のどこかで考えているから、
勉強に100%集中できていないんだ。」
先生に言われたことが、あまりに私の思っていることをドンピシャだったので、
思わず涙目になって、ウンウンと頷いている自分がいました。
そして先生は続けます。
「愛され上手って何か分かるかい?
それは決して、言いたいことを我慢して、良い子を演じることではない。
そうではなく、自分の弱いところも素直にさらけ出せる人のことだ。
ここにいる人は、全てを受け入れてくれる。
だから安心して、もっと肩の力を抜いて良いんだよ。」
それを言われた時、
私の肩に乗っかっていた重たい何かが、
スーッと消えていくような気がしました。
自分は、もっとありのままでいて良いんだ。
そう思った時、安心感で満たされて、
頭の中にあったモヤモヤが消えたのです。
私は、庭に出てみました。
風が気持ち良くて、そして上を見ると、
満天の星空が広がっています。
「なんか、私、変われる気がする・・・!!」
そんなことを、心の中で思っていました。
朝になると、皆で卵かけごはんを食べます。
これが本当に美味しくて、綾部の綺麗な水と、土鍋を使って炊いたごはんが、
体に染みわたるのです。
私は思わず、
「美味しい〜!!」
と叫んでしまいました(笑)
普段、こんなこと言わないキャラだったので、先生から、
「良い表情になってきたね!」
と言われて、照れ笑いをしていたのを覚えています。
皆も、幸せそうな顔で食べているのを見て、
ほっこりしました。
こうして、春の綾部合宿は終了です。
それからというもの、
私は、何か悩んでいることがあったら、
すぐに先生に相談するようにしました。
子供の頃から、悩んでいることを誰にも相談できず、
「こんなしょうもないこと聞いたら、嫌われるんじゃないか?」
とか思っていたけど、
先生はいつも、あたたかく受け入れて下さいます。
そして、驚くほど集中力が上がりました。
今まで勉強に集中できなかったのは、
「常にまわりの人の目を気にしていたから」
だったのです。
本当に頭が冴え渡って、1日の勉強時間もどんどん増えていったのです。
春は「ゆったりする」合宿でしたが、
夏、秋にやる合宿は違います。
こっちは、
「自分の限界に挑戦する」
というもので、
1日2〜3時間睡眠で、
それ以外の時間はひたすら勉強します。
もともと私は、1日に6〜7時間寝ないと頭が働かなかったのですが、
不思議と、綾部の合宿所では、その半分の睡眠時間でも、元気だったのです。
寝る時は、特殊な加工がされた布団で寝て、
信じられないくらい熟睡できます。
さらに、綾部の綺麗な水を使った大浴場もあり、
そこでゆったりして、疲れが吹き飛びます。
夜は、先生がモチベーションを高めるような話をしてくれて、
皆のやる気も絶好調!
今まで、1日3時間しか勉強できなかった私が、
12時間、15時間、とどんどん勉強時間が増えていくのです。
そして、不思議なことに、
一度自分の限界を超えてみたら、
「あれ?案外、いけるもんだな」
って思うようになって、
合宿が終わった後も、
1日10時間くらいは普通に勉強できるようになったのです。
私は、合宿の時、先生が話してくれたことを、今でも覚えています。
「人は、自分で勝手に限界を作ってしまっている。
だから、1回で良いから、とにかく限界をとことん超えて、
突き抜ける経験をしてみたら良い。
それだけで、壁が壊れて、見ている世界は変わるから。」
これは、本当にその通りだなと実感しました。
合宿で大きく変わった私は、そのまま受験まで走りきって、
念願だった大阪大学に合格しました。
もし、私が普通に生きていたら、
きっと、ずっとまわりの人の目を気にしながら
生きていたと思います。
それは、大学に入っても、社会人になってもそう。
だけど、自分の心の中の雑念を、全て炎で燃やし尽くして、
あの大自然の中で、満天の星空と1つになったような経験をして、
それから、自分を無にして、勉強と一体となることができた。
そして、さらに、自分の限界を超える体験をして、
突き抜けることができました。
この塾に入って良かったと、心から思います。
単に勉強ができるようになったというだけでなく、
人生で大切なことを、沢山教わりました。
この経験は、大学に入ってからも、決して忘れません。
先生方、スタッフの皆さん、
そして離れていても応援してくれていた両親、
全てに感謝して、めいっぱい、大学生活を楽しみ、
そして学びを続けていこうと思います。
本当に、ありがとうございました!