ステップアップに入塾するまで
この塾を知ったのは、現役の秋頃に本屋さんで『E判定からの限界突破勉強法』の本を見つけたときだ。勉強の仕方が分かりやすく書かれて、イメージがわいた。
そのころは、地元の予備校に通っていて、動画で授業を見てノートをとるだけ。受け身だし、分かった気になるが、すぐ忘れてしまう。結局身にはつかなかった。
でも、この本の勉強法は、反復を重視していた。何度もやれば、いずれできるようになるだろう。合理的だ。これなら受かると思った。おすすめの参考書を何冊か買って実践していた。
浪人が決定したとき、地元の塾に入り、一日中勉強に没頭できた。高校の時は、塾に行けば頭が良くなると思っていたタイプで、基礎すら全く身についていなかったので、この一年間で人生変えるぞ、という気持ちで打ち込めた。成績はなかなか伸びなかったけど、知り合いが多く、教えあったり、励ましあったりして、つらい寮生活を楽しんでいた。
しかし、第一志望校には及ばず、予備校のチューターに勧められた大学を受けることになって、それから身が入らず、失速。最後まで持ち直せず、結果、不合格。
その後いろいろ悩んだけど、二浪することに決めた。二浪目はステップアップの入塾説明に行き、入塾した。
波乱の塾生活
ステップアップに入ったのだから、去年以上に勉強して人生を変えようと思った。自分の自習席に、昨年の入試の点数を貼って、自分を鼓舞した。
なのに、入って二週間もしないうちに、息切れしてきたのだ。
勉強しよう! という気力が続かず、塾に行く気になれず、家にいる時間が増えた。
そのたびに、塾のスタッフや大学生が迎えに来てくれた。
それでも、どうしても塾に行けず、街中を散歩したり、あちこち放浪してみたり、心の浮き沈みが激しくあった。
今、気づいたのは、この時間はそうやって去年マイナスになったエネルギーを補充していたのではないかと思う。自分ではうまくできている、と思っていたけど、実は、どこかにムリしているところがあってマイナスになっていた分があって、それを取り戻していたのではないか、と思う。
紙に想いを書き出し、心の中を大掃除した
入塾してからは、自分の内に閉じこもることが多かった。春頃は、特にコミュニケーションをとるのは一人の先生だけだった。
「思っていることを全部紙に書き出せばいい、紙に書いて持っておいで」と言ってもらい、日々それをやっていた時期もあった。
ネガティブな感情ばかりだった。
これを見せたとき、先生からコメントがあるときもあれば、ないときもあった。先生から激しく怒られたこともあった。自分でも、こんなことを思っていたのかと驚くこともあったが、書き出して、たまっていた感情を手放していく感覚は悪くなかった。
元気をくれた「べじらーめん」と「大学生」
毎日の食事は、カウンター席だけの「べじらーめん」に行くことが多かった。カウンターだから、自分のペースで一人で落ち着いて食べれるからだ。特に好きだったのは、トマトらーめん、塩らーめん、油そば、和えそばだ。
もう一つ、思い出に残ってるのは、フルーツティー。これは本当に美味しかった‼︎
元気をくれたのは、食事だけではない。
卒塾生の大学生の存在がとても助けになった。年齢が近いせいか親近感が湧き、安心できた。
完璧からほど遠い浪人生活……たとえば、引きこもってジャンクフードを食べてたり、
大学生には、毎日のように手帳を見てもらい、コメントをもらったり、ちょっとした雑談をしただけでも、すごく励みになった。先生には言えないようなことも、大学生には心を開いて話すことができた。
年齢が近くて受験の壁を乗り越えた、そんな存在だからだろうか。
今、振り返っても、大学生がいてくれたことは、僕には大きかった。
「最後までやり遂げたい」一心で走り抜いた
僕は迷い、悩み、葛藤の多い受験生だった。ヤル気がわかず、勉強できない日も何度もあった。 自暴自棄になって、何もかもが信じられなくなった日もあった。先生に八つ当たりしたことも、数えきれないぐらいある。
そんな僕だったが、なぜかステップアップをやめようとは思わなかった。どれほど苦しくでも、一度やると決めた大学受験を中途半端には終わらせたくなかった。
そんな、ギリギリのところで戦っていたのだけど、そんな僕を、先生は信じて見守っていてくれていたんだと、今ならわかる。だから、どんなに苦しくても、僕も踏ん張っていたんだと思う。
こんな不安定な僕も、講師やスタッフに助けられ、なんとか前期試験で広島大学に合格できた。
爆発的に成績が伸びたとは言えないが、何度も逃げて引きこもったりした僕にしては、よくやったと言える。もちろん、この合格は何度も塾の先生や大学生たちに助けてもらったおかげだ。
夜遅くまで話を聞いてもらったり、時に厳しく時に優しく支えてもらったことは忘れられない。
本当に感謝の気持ちでいっぱいだ。
最後まで受験できてよかったと思う。ありがとうございました。