暗闇の先で、塾と出会った
僕は、本当にどうしようもない人間でした。
小学校の頃から、女の子にモテることばかりを考えて、
クラスで笑いを取ったのも「モテたい」のが大きな理由でした。
それでも、唯一真剣に取り組んできたことがあります。
それが、バスケです。
バスケも、始めたきっかけはモテたかったからでした。
でも、続けるうちにどんどんのめり込んで、
中学からは環境を変え、誰よりも上手くなるために、
中高一貫のスポーツ校へ通いました。
周りはスポーツ推薦の連中ばかりの中、
必死に練習へと食らい付く日々。
正直、理不尽なことばかりで、
努力が報われることなんてほとんどありませんでした。
必死に練習しても、テキトーに練習に取り組む
スポーツ推薦の連中からはレギュラーを奪えない…。
そんな挫折も経験しました。
でも、絶対に負けたくなかった。
「スポーツ推薦のヤツらにはぜってぇ負けねぇ…!」
自分と同じく一般入試から入ってきた仲間にも支えられ、
歯を食いしばってバスケに打ち込みました。
高校3年生の時。
ずっと一緒に練習に取り組んできた仲間の一言に、
僕は全てのやる気を失いました。
「もういいじゃん。どうせ頑張っても報われないし…。
てか、頑張るのって、ぶっちゃけダサくね?」
たとえ報われなくても、バスケだけは努力してきた。
それでも、信頼してきた仲間の一言が、胸に刺さったのです。
何があってもバスケだけは大好きだった。
なのに、もう本気で練習に取り組むことがバカらしくなったのです。
すると、その頃から、何もかもが上手くいかなくなりました。
クラスを盛り上げるために取った行動も、
前までは笑いになったものが「いじめ」だと言われるようになり、
クラスメイトからも呆れられ、仲の良かった友達にも裏切られ…
気づけば、周りからどんどん人が離れていきました。
「あぁ、オレ、何やってんだろ・・・」
本当に、自分が情けなかった。
気づけば、高校3年間が終わっていました。
もっと熱く生きたかったのに。
何もできないまま、高校生活が終わってしまったのです。
何より、高校バスケを中途半端なまま終えてしまったのが、ずっと心残りでした。
高校を卒業し、浪人が決まっても、勉強のやる気なんて出ません。
…とは言っても、勉強なんてまともにしたことがなかったので、
やる気が出ないのは、ある意味、当然でした。
学力だって小学生レベル。
「大学受験」なんて、一生縁がないものだとすら思っていました。
それでも、僕はバスケがしたかった。
だから、大学でもう一度バスケをするために、
浪人して大学受験へ挑むことを決意します。
でも、何をしたらいいかなんてわからなかった僕は、
YouTubeで受験勉強のことを調べ、あらゆる動画を探りました。
すると、一つの動画に胸を打たれたのです。
「受験勉強で大事なのは、結果じゃない。
結果へ至るプロセスでどう努力したかが大事なんだ」
勉強法のことばかり語るYouTuberが多い中で「生き方」を熱く語る。
その姿に、僕は強い憧れを抱いたのです。
今思えば、この動画から、大きく人生が変わっていたのだと思います。
それが、よなたんの動画でした。
「よなたんのいるミスターステップアップなら、
ダメな自分でも受験勉強に取り組めるかもしれない…」
それが、僕がミスターステップアップに
入塾することを決意した瞬間でした。
学力は中1レベルからのスタート
ただ、僕は入塾してからも、
なかなか勉強に集中することができませんでした。
なんせ、これまで勉強なんて全くしてこなかったからです。
何時間も机に座るのも、正直、耐えられませんでした。
学力だって、中1レベルからのスタート。
アルファベットすらおぼつかなくて、
「先生、pとqって、何が違うんですか…?」
と、大真面目に質問をしたこともあります。
全然、教材が思うように進まず、
気づけば、時間だけがどんどん過ぎていきました。
それでも、受験への不安をかき消すように、
「まぁ、なんとかなるでしょ!」
「志望校合格なんて余裕でしょ!」
と、大口ばかり叩いていました。
でも、本当は、心の中は不安でいっぱいでした。
迎えた7月。
いよいよ、5泊6日の泊まり込みで行う
綾部合宿が明日からスタートするという時に、
意を決して、村田先生に相談しました。
「先生、綾部合宿で、絶対に中学英語を終わらせたいです。
どうすれば終わらせることができますか…?」
すると、ほとんど手付かずだった教材を見て、
村田先生は一喝してくれたのです。
「本当は、逃げてるだけじゃないのか?」
核心をつく一言に、僕はドキッとしました。
「お前は、勉強できないんじゃない。
本当はできるのに、逃げてるだけなんだ」
村田先生は、何もかもお見通しだったのです。
僕が、大口ばかり叩いて勉強していないことも、
本当は勉強することから逃げていることも。
怒られる中で、心底、自分の情けなさを悔いました。
でも、同時にこうも思ったのです。
「全く勉強してこなかった自分でも、
最後までやり切れるって、信じてくれてるんだ」
厳しくも愛のある言葉に、目が覚めるような気持ちでした。
村田先生に思いを打ち明けてからは、もう必死で勉強しました。
もちろん、何度も挫けそうになりました。
「このままじゃ、どこも受かんねぇ…」
合格への不安を抱え切れず、
「今日は全体的に調子が悪かった」
なんて弱音を、合格手帳に書いたこともあります。
それでも、合格手帳を見た柏村先生は、
ガツン!と言ってくださったのです。
「調子が良いとか、悪いとか言ってる場合じゃない。
どんなことにもがむしゃらに向き合えるのが、
お前の良さなんじゃないの?」
自分の持ち味は、とにかくがむしゃらにやり抜くこと。
それしかできないことを思い出したのです。
「自分はどうせバカなんだから、
あれこれ考える前にやるしかない!!」
何度も、心が折れそうになりながらも、
何度も繰り返し、ハラを決め直して、
全てのエネルギーを受験に捧げて取り組みました。
もちろん、自分一人で勉強なんてできません。
だから、何度だって、先生にもぶつかりに行きました。
「先生、ここからどう勉強していけばいいですか?」
「全部言われた通りにやります!だから教えてください!!」
本当にしつこかったと思います。
でも、ミスターステップアップの先生方は
中1から始めている僕に対しても、理解するまで、
本当にわかりやすく、何度も丁寧に教えてくれました。
分かり始めた周りとの圧倒的な差
親身になってサポートして頂く中で、
少しずつ学力は上がっていきました。
でも、学力が上がるにつれて、
現実がよりわかってくるのです。
「自分って、こんなに馬鹿なのか…」
「わかる」ことが増えるごとに、
周りとの圧倒的な差をより実感するようになりました。
ある程度のところまでは、勢いだけで成績は上がりました。
それでも、自分のバカさ加減がわかるたびに、
どんどん不安は大きくなったのです。
「どうしたらいいんだろう…」
「本当にこのままでいいんかな…」
次第に大きくなる不安を抱え切れず、
ある時、村田先生に相談したことがあります。
「先生、本当に俺って合格できますか?
正直、周りと比べたら間に合うか不安で…」
そういうと、村田先生はこう話してくださったのです。
「〝山中の賊を破るは易く、心中の賊を破るは難し〟
お前が戦うべきは、周りの誰かじゃなくて、
自分の心の中にいる〝賊〟じゃないのか?」
周りとの比較で落ち込む僕にとっては、
まさに「人生の指針」となる言葉でした。
「そうか。この1年の受験生活は、大学に受かるだけが目的じゃない。
心の中にいる〝弱い自分〟を叩き直すために勉強しよう」
〝山中の賊を破るは易く、心中の賊を破るは難し〟
村田先生から頂いたこの言葉は、
合格手帳にも書き留めて、何度も見返しました。
不安になった時も、周りと比較しそうになった時も、
何度もこの言葉を思い出して勉強に取り組みました。
仲間の背中が、支えてくれた
もちろん、すべてがうまくいったわけではありません。
でも、辛い時、いつも支えになったのが
ミスターステップアップの仲間が勉強する姿でした。
僕の入った限界突破コースでは、私語は厳禁です。
だから、同じ部屋にいても、
他の塾生と話すことはほとんどありません。
それでも、みんなが勉強する姿を見て、何度も奮い立たされました。
しんどくなって、
「今日はもう帰って休もうかな…」
と思ってしまう日もあります。
けれど、隣で必死に勉強している姿を見れば、
「ぜってぇ負けてられねぇ…!!」
と、もう一度気合を入れ直して、勉強に取り組みました。
誰よりも早く塾へ来ようと、
大嫌いだった早起きにも挑戦して、
毎朝5時に塾へと通ったこともあります。
そうやって、たとえ言葉を交わさずとも共に高めあえる
黒流部屋(限界突破コース専用の部屋)の雰囲気が僕は大好きでした。
何より、僕は誰よりもバカだから、
自分にできることは、1秒でも長く、誰よりも勉強することだと。
それしかできないと思って、勉強に取り組みました。
どんな時も無条件で信じてくれる先生方と、
その背中だけで、共に高め合える仲間の存在。
11月の後半に差し掛かった頃には、
気づけば、一切の不安なく
勉強へのめり込めるようになっていました。
成績だって、志望校には遠く及ばない。
でも、不思議と自信に満ちあふれていました。
あれだけ嫌だった受験勉強も、
もう自分一人じゃないと思えば、
いくらでも勉強できるようになっていたのです。
なんて幸せなんだろう…
迎えた前期試験本番。
「これだけのサポートがあって、受からないわけがない!」
自信満々に、僕は試験へと臨みました。
僕は複数の志望校を受けましたが、
試験の日々は、始まってしまえば一気に過ぎ去って、
気づけば、私立の前期試験は一通り終わっていました。
試験が終わった僕の中に、不安はありませんでした。
「きっと、大丈夫!」という根拠のない自信があったのです。
けれど、結果は残酷でした。
あれだけ自信があったのに、すべて「不合格」だったのです。
「なんてちっぽけな自信を持ってたんだろう…」
また、自分の小ささを痛感しました。
でも同時に、ふしぎと不合格通知を
冷静に受け取っている自分もいたのです。
「よっしゃ!!
“前期全落ち”だからこそ、
ここから大逆転ストーリーが始まるぞ…!」
自分でも、驚くほどポジティブでした。
ポジティブでいられたのも、理由は単純です。
「これまで支えてくれたスタッフのために、最後まで頑張ろう」
「自分にできる恩返しは、少しでも〝結果〟としてお返しすることだ」
そう、心から思えたからです。
気づけば、勉強を進める中であふれたのは、
これまで支えてくれた方々への感謝でした。
「こんなに恵まれた環境で勉強できる。
自分は、なんて幸せものなんだろう…」
この大学受験は、自分一人のものじゃない。
そう思えば、どこまでだって勉強することができたのです。
後期試験までは、わき目も触れずに勉強しました。
もちろん、
「もし、後期試験に合格できなかったら…?」
という不安はずっとありました。
口の中も口内炎だらけで、
ごはんがうまく喉を通らない日だってありました。
それでも、
自分を信じ続けてくれた先生やスタッフの皆さんのために、
村田先生から言ってもらった「心中の賊」を打ち破るために、
諦めずに、歯を食いしばって勉強しました。
その中で届いたのが、滑り止めの大学への合格通知です。
自分の目指す第一志望は、まだ先にある。
でも、一度合格通知が届いてからは、
一切の不安なく勉強できるようになったのです。
すると、一気に4つの大学への合格を決めることができ、
勢いのままに、第一志望の龍谷大学への試験へ臨みました。
前日にも、朝からいろんなスタッフに付き合ってもらって、
最後の追い込みを行いました。
試験当日も、テストが始まる瞬間まで、
とにかくできることをやりました。
そして、試験本番・・・
もう、目の前の一問一問に、愚直に向き合いました。
試験当日まで、まだまだやれることはあったのかもしれません。
それでも、精一杯、やり切った。
たくさんの人の支えられ、お世話になった。
「自分がこれまで積み上げてきたすべてをぶつけよう」
そう思って、試験に臨みました。
そして、結果は・・・
「不合格」でした。
でも、悲観的にはなりませんでした。
「最後に出しきれなかったのは、これから先、
自分が乗り越えるべきテーマなんだろう」
「出し切れなかったからこそ、大学でもっと成長できる!」
むしろ、不合格をきっかけに、もっと成長できると思えました。
「まだまだ自分は、こんなもんじゃない」
そう背中を押されているようにも感じたのです。
すべての試験を受け終わり、僕は実家へ帰りました。
「今まで支えてくれて、ありがとう」
「ミスターステップアップで学んだことを、少しでも体現したい」
1年間お世話になった方々への感謝を込めて、
家の中を掃除していたのです。
すると、一通の封筒が届きます。
それは、落ちたはずの摂南大学の「補欠合格」の通知でした。
こうして合格したのが、僕の進学する「摂南大学」です。
まさか自分が大学生になれるなんて、思ってもみませんでした。
でも、YouTubeで見たよなたんの言葉に奮い立たされ、
「この塾なら大丈夫!」という直感に従って、
本気で勉強に取り組んで本当に良かったと思います。
こんな1年間を味わえるなんて、想像もしていませんでした。
今、振り返って思います。
小学生レベルの学力から初めて、
そんな僕でも大学へ合格できるんだから、
人は誰だって変われる。成長できる。
本気になれば、できないことなんてないんだと。
高校の時、僕は友達の一言に絶望しました。
けれど、そのおかげで、ミスターステップアップと出会い、
かけがえのない1年間を過ごすことができました。
「あの時、絶望させてくれてありがとう」
心の底からそう思います。
この文章を読んでくださっている方の中には、
大学へ行くなんて、想像できないような人もいるかもしれません。
でも、こうも思います。
空っぽだからこそ、先生にすべてを預けられる。
すべてを預けられるから、
自分一人では到底成し遂げられない〝奇跡〟を味わうことができる。
この1年間、僕はミスターステップアップで、
バカだからこそ味わえる奇跡を体感しました。
「自分のすべてを預けられる人」との出会いに恵まれ、
これから先の人生で何が起こっても
乗り越えられる生きる知恵を教えていただきました。
〝山中の賊を破るは易く、心中の賊を破るは難し〟
僕は、村田先生からこの言葉を頂きましたが、
心中の賊を破るために一番必要なのは、
「自分のすべてを預けられる誰か」との出会いなのだと今は思います。
これから大学へ言っても、
ミスターステップアップで教えていただいたことを胸に、
一生、成長し続けていきます。
本当に1年間、ありがとうございました。