1.英語速読とはなんだろうか?
英語の序盤で、必ず毎日続けてほしいことがあります。
それが「音読」です。
音読を毎日30分、半年以上も続けて習慣化すると、とんでもないことがおきます。
英文を読むスピードが段違い(2倍~3倍)に速くなるのです。
これが、英文速読の王道です。
ほとんどの受験生は、英文速読ができません。
英語が得意という受験生でも、その多くが入試英文を1分間に、50〜70語ぐらい読めるのがやっとです。
南極流でいう英文速読とは、入試英文を1分間に120〜150語ぐらい読めるレベルです。
これくらい高速で読めるようになると、共通テストはもちろんのこと、早稲田・慶応・上智の超長文問題(ふつうの英語長文よりも、さらに長文)でも、制限時間内に余裕をもって、正確に(得点率90%以上で)解ききることができます。
世に言う、パラグラフ・リーディングなどのテクニックは、音読を習慣化して、英文速読ができるようになれば、全く必要ありません。
ちなみに、偏差値70以上のレベルが、このあたり(入試英文を1分間に150語以上で読めるレベル)です。
さらに、その上を行くと、全国模試トップ、英検一級、TOEIC9割以上になると、入試英文を1分間に200語ぐらいで読めます。
また、プロの同時通訳者(日本人トップクラス)だと、250語以上です。
実際、南極老人は、センター試験の英語なら、20分(制限時間80分)で満点がとれます。
では、なぜ、多くの受験生は、速く読めないのでしょうか。
それは、返り読み(あとで説明します)をするからです。
なぜ、返り読みをするのでしょうか?
それは英文を音読する習慣がないからです。
実は、学校英語でも音読を重視していません。
あったとしても、ほんの少し。
ほとんどの英語の授業は、「この英文を日本語に訳しなさい」と、生徒に、正しい日本語訳を答えさせるだけです。
しかし、これでは英文速読は不可能です。
「共通テストは時間が足りない……」
「早稲田、慶応、上智は、夢のまた夢……」
そんなあなたでも、3カ月、6カ月、1年と英文音読を毎日30分でも続けることが出来れば、1分間あたり120語〜150語以上のスピードで読めるようになれます。
「なるほど、音読の効果はわかった。ぜひ、やってみたい! でも、どうやって?」
というあなたにオススメの教材があります。
2.オススメの英語音読テキスト
『英語長文ハイパートレーニング レベル1 超基礎編』安河内哲也・著(桐原書店)
桐原書店
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このシリーズは、難易度の高い『レベル2、レベル3』もありますが、音読用には『レベル1』が最適です。(『レベル2、レベル3』は、英語長文問題の演習用としておススメ)。
『英語長文レベル別問題集①、②、③、④』安河内哲也・大岩秀樹・著(ナガセ)
英語長文レベル別問題集 1(超基礎編) (東進ブックス レベル別問題集シリーズ)
ナガセ
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英語長文レベル別問題集 2(基礎編) (東進ブックス レベル別問題集シリーズ)
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英語長文レベル別問題集 (3) 標準編 (東進ブックス―レベル別問題集シリーズ)
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英語長文レベル別問題集〈4〉中級編 (レベル別問題集シリーズ)
ナガセ
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このシリーズは、難易度の高い『⑤、⑥』もありますが、音読用には『①、②、③、④』が最適です。(『⑤、⑥』は、英語長文問題の演習用としておススメ)。
そのほか、英語を、初歩の初歩から始めたい人には、
『英語の耳になれる本』安河内哲也・著(中経出版)
KADOKAWA/中経出版 (2012-06-19)
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こちらの本もオススメです。
使い方は簡単です。
『英語長文ハイパートレーニング』、『英語長文レベル別問題集』なら、まずは、問題を解いてみましょう。
間違えた設問は、解説をよく読んで理解します。
このあたりは「ああ、そうか」程度で構いません。深追いはしません。
英文中に知らない単語があれば、なるべく覚えるようにしますが、ノートにまとめるとか、単語カードを作るなどは不要です。
いずれ、何十回、何百回と、音読&リスニングするうちに自然と頭に入るようになります。
英文中に、英語構文がわからないところがあれば、全訳や解説を頼りにして、ちゃんと納得できるまで考えましょう。
構文は、あとあと、重要になってきますからね。
さて、ここまでが準備の段階です。
ここからが、英文音読の本番です。
実は、英文音読をやる上で、これだけはゼッタイ守ってもらいたいことがあります。
いわば、英文音読のゴールとは何か?という話です。
それは、ここで紹介した教材のリスニング用CDを、受験が終わるまでずっと聞き続けてほしいのです。
学校に行くときも、塾に行くときも、誰かと待ち合わせをしているときも、ぼーっとしているときも、試験会場に行くときも、寝る前も、時間を見つけて、ずっと聞き続けてください。
英語が得意な人の中には、「もっと難しい英文を音読したい!」と思う人もいるでしょう。
入試に出る英文はもっと難しいのだから、それらと同じくらいか、または、それ以上の英文を音読すべきではないか、という意見です。
これも一理(いちり)あります。
もちろん、赤本(過去問)を解いたり、模擬試験を受けた後に、せっかくだから問題文の英文を音読してみようかな‥とか、たまたま英字新聞があったから、ちょっと音読してみようかな‥とか、そういったことはかまいません。
しかし、南極流でいう英文音読とは、同じ英文を、何十回、何百回と音読して、英文中に含まれるエネルギーのようなものまで吸収し尽くして、英語力の血肉にする方法ですから、ちょっと音読してみるのとは、ぜんぜん違います。
これまでの南極老人の指導経験では、
- 難しい英文を何十回、何百回と音読しても、期待したほどの成果は得られなかった
- ムリをして、難易度の高い英文を音読し続けても、思ったほど成績が上がらなかった。
そういう受験生が多いそうです。
南極老人自身も青年時代に、難易度の高い英文音読にチャレンジしたそうです。
ですが、努力のかいもなく、成績が下がってしまったそうです。
ですが、再び原点に戻って基礎レベルの英文を何度も何度も音読したときに、英語でブレイクしたそうなのです。
南極老人は、「やさしめの英文を何百回も音読することがベストである」と断言しています。
3.英語音読で東京大学に合格!
南極流勉強法を実践して、東大に合格した小倉くんの話をしましょう。
彼は、浪人中の一年間、英語の勉強でやりとげたのは、ほぼ、『英語長文レベル別問題集』(②、③)の音読とリスニングだけでした。
しかしこの2冊を、徹底的の上に、さらに徹底的に、音読&リスニングをやり続けた結果、英文に含まれる栄養分のようなものを根こそぎ吸収し尽くし、センター試験はもちろんのこと、東大の2次試験も快心の出来でした。
そしてみごと、東京大学理科Ⅱ類に合格したのです。
このエピソードの面白いところは、『英語長文レベル別問題集』の、④⑤⑥といった、上級レベルの英文を、音読&リスニングしたのではなく、基礎レベルの②③の2冊に絞って、音読&リスニングを極めたところです。
英語が得意な人の中には、 「もっと難しい英文を音読したい…」 と思う人もいるでしょう。
入試に出る英文はもっと難しいのだから、 それと同じレベルの英文を音読すべきではないか、というのも一理あります。
しかし、南極老人の経験では、 難しい英文を音読してもたいして成績が上がらない受験生が あまりにも多かったそうです。
南極老人ご自身も、南極青年時代、 難しい英文を音読することにハマった時期があるそうです。 しかし、全て失敗に終わりました。
というより、成績が簡単な英文を音読していたときより 下がったそうです。
ふたたび原点に戻って、簡単な英文を何度も何度も音読したとき、英語の成績がブレイクしたそうです。
小椋くんの素晴らしさは、『英語長文レベル別問題集』の、④⑤⑥も、ちゃんと解き終えた後に、何度か復習するうちに、やっぱり、「やさしめの英文を何百回も音読することがベストだ」と実感し、南極流の基本を貫き通せた点にあります。
多くの受験生は、せっかく、良い勉強法に出会えても、迷い、ぶれます。
ですが、小倉君はぶれなかった。
だからこそ、合格できたのです。
私は、長年、受験指導にかかわってきましたが、「合格の秘訣は?」と聞かれれば、必ず、こう答えます。
ぶれないハートを持て!
英語は前から順に読んで理解する
下にある英文を見てください。
I am walking along the river with my friend.
これを、学校で習った方法で訳すと、「私は友達と川に沿って歩いています」となります。
たしかにこれで正解なのですが、このように訳すためには、
- 私は(I)
- 友達と(with my friend)
- 川に沿って(along the river)
- 散歩しています。(am walking)
という語順で訳さなければいけません。
しかし、英米人は下に示したとおりの順序で意味を理解します。
- 私は(I)
- 散歩しています(am walking)
- 川に沿って(along the river)
- 友達と(with my friend)
このように、日本語と英語は語順が違います。
ですから、どうしても日本人は、返り読みが必要になります。
語順を入れ替えないと、正しい日本語にならないからです。
このような、返り読みをしている人は、長文読解においては、どうしても遅れをとってしまいます。
そしてこの問題を一気に解決するのが、「音読」です。
たとえば、この英文を音読すると、下に示したように読めます。
I was reading a book / which my father gave me / yesterday.
私は本を読んでいた / それを私にくれた / 昨日
このように、音読では、英文をセンスグループ(意味のまとまり)ごとに区切り、そのセンスグループごとに、英語の語順に沿って読みます。
これで、返り読みする必要が全く無くなるというわけです。
そして、最後のセンスグループが終わると同時に、文章全体の意味もわかってしまうのです。
関係代名詞(which)も、返り読みしません。
一般に関係代名詞は「関係詞」としての役割が強調され過ぎて「〜するところの」と訳されます。
これが、返り読みの原因になっています。
しかし、音読では、関係代名詞を「代名詞」ととらえます。
ですから、which は「それを〜」と訳すので、返り読みする必要がありません。
語順どおりに理解できるようにトレーニングすれば、どんな複雑な文章でも、頭から次々に意味をとっていくことができます。(そのためには、後で紹介する英語構文のトレーニングも必要です。)
実は、ネイティブである英米人が英語を理解する方法も、この音読と同じです。
つまり、音読をマスターするということは、英米人と同じ〝英語の思考法〟を身につけることを意味します。
音読だけで、英語力の四要素(聴く・話す・読む・書く)を、別々にではなく、いっぺんに鍛えることができるようになるのです。
4.センター英語7年連続で満点の秘密とは?
南極老人は、センター試験(英語)で、7年連続で満点(200点)をとりました。
「えっ? センター試験で7年連続‥?」
と不思議に思われるかもしれませんが、これは本当の話なのです。
たしかに、南極老人のやられることは、常識外れで変わった人なのですが、そんな常識外れな経験のおかげで、南極流勉強法が完成し、たくさんの受験生が勇気づけられたのです。
南極老人は、大学に行く気もないのに、完全なる趣味で、センター試験を9回も受験しました。
その南極老人が、センター英語で満点がとれるようになった最大の理由は、
「音読のおかげで、ふつうの受験生の4~5倍、速く読めるようになったからだ」
なのだとおっしゃいます。
速く読めるようになったのは、音読をひたすら毎日、毎日、繰り返し、繰り返し反復練習したからだ、と断言されています。
私も南極流勉強法を実践して、絶対毎日欠かさなかったのが、音読でした。
毎日30分、欠かさず音読をやり続けました。
その結果、どうなったと思いますか?
私は、もともと英語の偏差値は40~50ぐらいしかありませんでした。
しかし、音読を毎日続けるだけで、3カ月後のセンター模試で、なんと190点もとれてしまったのです。(センター試験の本番でも190点以上とれました。)
特別に何の対策もしていなかったのに、早稲田・慶応・上智も全勝(楽勝)です。
センター試験の英語は、4問目、5問目、6問目が長文問題です。
そのため、この長文問題をいかに速く解くか、というのが鍵になってくるわけです。
ここで、もたついてしまっては、時間内に解き終わりません。
では、なぜ多くの受験生が「共通テストで、いつも時間が足りない」のか?
その最大の原因が、さっき説明した、返り読みです。
読み返りは一種のクセなのです。
返り読みはクセですから、音読のトレーニングで直せます。
ですから、音読は、ぜひ、今日から始めてください。
同じ英文を、毎日30分、最低でも30回以上になるまで、音読してください。
高校生は、学校の教科書でもかまいません。
その場合は、まず教科書の英文を一文ごとに番号(通し番号)をふっていき、
それに対応した日本語訳(全訳)を作ります。
音読は、
日本語訳を把握(はあく)する → 英文を音読する
という流れで、毎日30分、実行します。
やってみればわかると思いますが、30分の音読というのはなかなか大変です。
初めての人には、けっこうしんどいです。
30分の音読には、英語の知的体力が必要だからです。
英語の知的体力とは、英文を読み続けても、集中力やパフォーマンス(処理速度)が維持できる、脳の持続力のことです。
音読ビギナー(初心者)には、英語の知的体力がありません。
だから、わずか15分ぐらいの音読でも、どっと疲れます。
そういう場合は、10分の音読を、1日に3度やるなどして、少しずつ慣らしていけばよいでしょう。
同じ英文を30回以上も音読すれば、なかば暗誦(あんしょう)状態になります。
そうなると、英文に対する〝気づき〟も変わってきます。
英文を前から前から順に読んでも、意味内容が次々に、スーッと頭の中に入ってきます。
返り読みをしなくても、どんどん、頭の中に、情報が整理されていきます。
今までどれほど解説を読んだり、授業を聞いたりしても、決して手の届かなかった英語が「手に取るようにわかる!」という感覚がふわぁ~っと感じられる瞬間が訪れます。
それを、よく味わうようにするのです。
しかし、その「わかる!」という感覚は長続きしませんから、今度は別の英文で、それが経験できるまで、音読を続けます。
すると、また訪れます。
そして更にその感覚をよく味わうようにするのです。
これを何十回も経験するうちに、英語の感覚が、すっかり変わったと言える日がやって来ます。
そのときのあなたの偏差値は70以上に伸びていたとしても何ら不思議はありません。
ただし、上には上がいます。
油断せず、最後の最後まで、音読を続けてくださいね。
はじめの数回はたどたどしくても、10回、20回、30回以上ともなれば、思いのほか、スラスラ、流れるように英文が音読できる自分に、きっと驚くでしょう。
英文が、前から前から順に読める感覚。
返り読みをしない感覚。それを味わうことです。
きっと英語の感覚が変わります。
たとえば、高校生なら、定期テスト対策もこれでほぼ万全です。
いちいち単語帳を作る必要もありませんし、「英文中の空白に適切な前置詞を入れよ」といった類(たぐい)の穴埋め問題も、あっというまに答えられるでしょう。
5.南極流 音読トレーニング
音読には、いくつか、コツがあります。
まず、同じ英文を、何十回も、音読することです。
コツややり方を以下にまとめてみました。
音読、1回目~3回目
発音を気にしながら音読する。
もちろん、同時に、内容・文法構造も確認できるとさらによい。
この段階では、つまりながらでも、ゆっくりと音読してかまいません。
音読、4回目~8回目
内容・文法構造を確認しながら音読する。
音読、9回目以降(30回以上):
滑らかに抑揚をつけながら、できるだけ速く音読する。
(最終目標は、一分間に150語以上の速さで音読する)
ところで、紹介した教材は、初級・中級・上級とありますが、英語が得意な方でも、はじめは初級から始めてください。初級が完ぺきになり次第、中級に進んでください。
30回も音読すれば、自然に英文を覚えることができます。
これは英作文にも絶大な効果があります。
ただし、最初の数回は(できれば10回ぐらいは)英文を音読したあとに、日本語訳があれば、それも同時に音読するようにします。
その後は、英文のみ、音読します。
当面の目標は、英文をスラスラと読むだけで、それと同時に、日本語訳がパーッと思い浮かび、内容が理解できるようになることです。
さらなる、英文音読のコツは、(英語と日本語との)入り混(ま)じり読みです。
たとえば、以下のの英文で、入り混じり読みを実践すると、次のようになります。
Many American students / drive their own cars / to school or to work.
メニー・アメリカン・ステューデントは、ゼア・オウン・カーズを、ドライブする。
名詞や動詞などは、英語の発音のままにしておいて、その場に応じて、「て・に・を・は」や「である」などを補っていくようにします。
英語を、英語のまま読むことによって、日本語にわざわざ置き換える手間を省き、英文をセンスグループ(意味のまとまり)ごとに訳していた時よりも、読むスピードがさらに速くなります。
更にもう一つおススメのトレーニングがあります。
それは、「シャドーイング」です。
シャドーイングとは、リスニングで聞いた英語を、まるで影(シャドー)のように、追って英文を音読することです。
耳で聞いた英文をすぐに口に出すので、英文をすばやく処理する能力を養うことができます。
慣れるまでは、英文を見ながらシャドーイングを行ない、英文の内容がだいたい頭に入ってくれば、英文を見ずにシャドーイングしてみましょう。