今回は、「合格する受験生の教材の選び方・使い方」についてお話しします。
まず、多くの受験生はどのように教材を選んでいるのか、というと
- 友達が使っていたから
- 志望校に合った参考書は、コレだよ、と聞いたことがあるから
- 本屋さんでたまたま見つけたから
という理由が多いと思います。
ですが、これでは自分に合った教材を正確に選べているとは言えません。
では、どんな点に着目して教材を選ぶべきか? ポイントを順にお伝えします。
友達に惑わされないために、教材の選び方について動画で解説します!
ポイント1:受験勉強の序盤・中盤・終盤、それぞれ目的にあった教材を選ぶ
受験生の間で有名な参考書や人気の問題集、というものは実際にありますが、使うタイミングや使い方がよくないと、その教材の良さを吸収できず、むしろ逆効果に終わってしまうことがあるので要注意です。
その例をあげると、受験生の間でよく使われている数学の参考書に、『青チャート』と『フォーカスゴールド』があります。
広く知られた人気のテキストですが、これも「さあ、今から受験勉強を始めていこう!」、というタイミングの受験生にはあまりオススメではありません。
『青チャート』は分厚いうえに、教科書レベルの基礎的な問題がほとんど入っていません。つまり、数学の初学者にはハッキリ言って不向きです。
『大逆転勉強法』では、受験勉強の時期を「序盤」「中盤」「終盤」と3期に分けているんですが、「今から勉強を始めていこう!」という序盤は、ゆっくり丁寧に進めていきながら、徐々に速度を加速させていくことがポイントです。
そのため、まだ勉強の習慣がついていないときから、いきなり難しいテキストや分厚い問題集をすると、やる気を維持しにくくなります。
序盤のタイミングでは薄くて簡単な教材の方が向いています。
たとえば、『青チャート』を含むチャートシリーズでも、同じことが言えます。
チャートシリーズは、白→黄→青→赤、というレベル分けになっており、1番簡単で基礎的な教材が『白チャート』です。
にもかかわらず、『青チャート』を使っている受験生に、『白チャート』の問題を抜き打ちテストしたら、「解けない!」、「正解できない!」、ということが多々あるのです。
自分が使っている参考書が、今の自分に本当に適しているかは気にすべきことです。
もし、選ぶのに迷ったら『大逆転勉強法』を参考にしてください。
序盤、中盤、終盤にそれぞれおススメの数学の教材を紹介しています。
ポイント2:序盤期の教材は、薄くて簡単なものを完璧に仕上げること
では実際に、序盤期の数学の教材を使って、どのように進めていけば良いかを説明しましょう。
ミスターステップアップでは、序盤期の数学の教材として、『ドラゴン桜式数学力ドリル』を紹介しています。
これは、「1A」が1冊でまとまっており、少ないページで全部を復習ができるようになっています。本当にやる気さえ出せば、1ヶ月かそれより短い期間で全部を反復することができます。
「1A」の復習を30分でやりたい、というタイミングがあれば、この『ドラゴン桜式数学力ドリル』をセルフレクチャーしてください。(※セルフレクチャーとは? 解説へリンク)
「1A」の知識が総まとめされてあり、パッと見ればすぐ思い出せます。
「しばらくこの単元やってないな・・・」と、長いブランクができてしまわないためにも、このような薄くて簡単なものを一冊持っていると、気負わずサクッと反復できます。
こういった参考書こそ、序盤期の教材として最適です。
また、多くの受験生の参考書の使い方の中で、「反復練習を何回しているのか?」 という観点で見ると、「反復しない」、「1回しかやらない」、そんな受験生はたくさんいます。反復していると言っても、せいぜい2回か3回という人がほとんどです。
では、参考書を何回反復したら成績が上がるのか? ということを考えてみましょう。
だいたい1回目の練習というのは、知っているか知らないか、ということを分けただけで、それらを「できるようになった」、とは言えません。
2回目3回目と繰り返していくうちに、解説を読んで「あーそうだったのか!」と、やっと理解していくんです。
ですが、これもまだ自分で解ける、という段階ではありませんので、いざ抜き打ちでテストされると、「分かりそうなんだけど、コレ何だったっけ?」とか、「やり方は大体わかるんだけど・・・結局できない」と、なってしまいます。
これでは、入試本番に得点できるとは言えません。
ポイント3:入試の緊張状態で実力を発揮するために必要な反復回数は7回
さらに、入試本番の状況で言えば、
- 不安
- 緊張
- プレッシャー
- 制限時間
などの、たくさんの負荷がかかっているわけですから、普段できることであっても、入試本番で100%の力を発揮できるとは限りません。
ですので、問題を解く力だけでなく、それ以上の次元にまで力を伸ばしておかないといけないわけです。
では、入試本番を想定した完成度を目指すなら、だいたい何回くらい反復練習が必要だと思いますか?
反復1~2回では、まだ解説を読んでなんとなく分かったという状態です。
答えは、「7回」です。
7回反復して、初めて「身体で覚えている状態」になります。
つまり、7回以上繰り返すと、身体で反射的に答えを作ることができる状態になっていくのです。
よく受験生から、「本番中、頭の中が真っ白になりました」という声を聞いたりしますが、極端な話、この状態になれば頭が真っ白になっても手は動くのです。
そこまで到達するために必要な回数が、7回なのです。
7回くらい反復練習すると、潜在意識まで目覚めている状態です。(※潜在意識とは? 解説ページへリンク)
英語であれば「英語脳」、
数学であれば「数学脳」が目覚めている状態、と言えます。
そういった状態になっていれば、入試本番の色んな負荷がかかっていたとしても正解することができる、そして合格をつかみ取ることができるんですね。
ですので、反復の基準は7回、と思ってください。
もちろん8回、9回10回と、7回以上反復練習してもかまいません。
入試までに、いつまでに何をやらなければならないか、どれだけ参考書に残りがあるのか、ということを含めて計画を立て、徹底的に反復練習して一冊の教材を完璧に仕上げる、という方向に向かってください。
ポイント4:「できる問題」と「できない問題」に仕分け、エネルギーを配分する
また、反復の仕方にもコツがあります。ただ漫然と反復するのではなく、反復する中でもスピードを上げていかなければ意味がありません。
では、どうすればいいのか? というと、できる問題は最小限の時間で解けばいいのです。省エネで勉強して、ただ忘れないようにしてください。
逆に、わからない問題や苦手な問題、覚えていない単語に関しては、重点的にエネルギーをかけるのです。
そこで、大事になってくるのが仕分けです。
仕分けは、下記のようにやってください。
たとえば、『大逆転勉強法』で紹介している『合格英単語600』で言うと、600個のうちの最初にいきなり仕分けをします。
覚えている単語には〇、覚えていない単語には×をつけていってください。
すると、〇の200個と×の400個に分かれるわけです。
この最初の〇の200個というのは、何回も反復したり、時間をかける必要はなく、たまにパラパラとめくって見ていればOKです。
時間をかけるべきは、×がついた400個です。
この400個をある程度反復練習してから、同じように〇×をつけていきます。
すると、400個のうち、覚えた100個は〇、覚えていない300個は×、となりますね。
さらに、×をつけた300個を同じように反復して、覚えた150個には〇、覚えていない150個には×がつきます。
最後まで×がついた150個を完璧に覚えられるまで反復して仕上げていきます。
そうして、×がつく単語が0個になったときに完璧、ということです。
そうやって、どんどん仕分けをしていきながら、わからない問題、知らない単語に時間やエネルギーをかけ、そちらを重点的にやるのです。
そして、残りの〇をつけた問題はスピーディにパッパッと進めていって、あまり時間をかけないでください。と言っても100%放置して全く勉強しない、となってしまうと、すっかり忘れてしまいますので、注意してください。
最後に教材の使い方のポイントをまとめると、この3つです。
- エネルギーをかけるところ、省エネでいくところを仕分けする
- 1冊を完璧にする
- 1冊を7回以上反復練習する
こういった流れで勉強することを踏まえて参考書を選び、その1冊を徹底的に吸収していけば、無理なく誰でも着実に成績を上げていくことができます。
ぜひ、これから教材を選ぶ際の参考にしてください。