こんにちは、大学受験塾ミスターステップアップ講師の村田明彦です。
今回は、
「京大数学を徹底対策!合格におすすめな参考書と勉強法とは?」
というテーマでお話していきます。
京大に合格するためには、京大数学で点数を取ることが必ず必要になってきます。
京都大学の理系数学は例年6題出されており、そのうち4問完答することができれば、数学の面においては合格圏内にいけると言って良いでしょう。
そこで今回は、京大合格において重要な鍵を握る数学の勉強法を、合格する受験生の心構えまで含めて、具体的な参考書も紹介しながら解説していきます。
【動画】<共通テスト数学>3ヶ月で9割とれる!受験生必見のすごい対策
1.京大数学攻略のための3つのステップ
この記事では、京大数学を攻略していくための3つのステップとして、具体的な勉強法をお伝えしていきます。
1-1.A 「易」「標準」のレベル問題をまずは確実にとれるようにする
まず、京大数学を攻略していくために必要な考え方として、数学の入試問題のレベルを「易」「標準」「やや難」「難」 という風に分けていきます。
「易」の問題は教科書レベルの問題です。
「標準」というのは、オーソドックスな入試問題、「やや難」が基礎と標準の組み合わせ問題、「難」というのは、捨て問や奇問と呼ばれる、 出題者が満点を取らせないために作っている問題なので、できない人がいてもいいという問題として作られています。
「難」の問題は、受験生が制限時間内に解くには難しい問題なので、深追いしすぎたり手を出しすぎたりしないようにする必要があります。
京大の合格最低点は、学部によりますが、低い学部だと55%ほどです。
理学部や医学部はもっととる必要がありますが、まずは、55%以上を目指しましょう。
京大の問題を難易度別に分類すると、
「難」→25%、
「やや難」→30%、
「標準」→25%、
「易」→20% 程度の配分で構成されています。
京大の数学の問題でも、教科書レベルの易の問題はけっこう出てくるので、 まずは「易」と「標準」の教科書レベルのオーソドックスな問題を確実に取れるように努力をしていくことが重要になります。
ただ、これだけでは合格点を取ることはできないので、易と標準の問題を確実におさえ、やや難の問題を確実に取りに行くというのが作戦になるということです。
ですから、まずは教科書レベルの問題集とオーソドックスな問題集を解けるようにすることが、京大数学攻略へのファーストステップとなります。
1-2.B 「易」と「標準」の組み合わせでできている「やや難」の問題を解く
「やや難」の問題は、「易」と「標準」の入試問題が「化粧をしている」という言い方ができます。
一見見慣れない問題だと思うのですが、実際は「易」と「標準」の問題が組み合わさって「化けている」のです。
ですから、その化粧をとることが出来れば、普段よく見るような問題だと気づくことが出来ます。
京大数学に合格するためには、この「やや難」の問題ををどれだけ得点できるかに尽きるでしょう。
ポイントとしては、「易」や「標準」の問題で使われている、式の変形、条件の翻訳、解法パターンなどが、どのようにして「やや難」の問題に組み込まれているかを見抜く練習をしていく必要があります。
やや難の問題でしっかり点数が取れるようになったら、確実に合格圏内に入っているという状況になるので、どの問題が「やや難」のレベルなのかを見極める練習をしっかりとしてほしいのです。
実際、「易」と「標準」の問題は、普段見慣れている問題なので、教科書や問題集等でよく見たことがあるものです。
一方で、「やや難」の問題は、一見すると見たことのない問題だと感じますが、細かく見ていくと、よく使う式の変形、数文や和文が入っていることが分かります。
のちに紹介する『京大数学の25カ年』というテキストを使って、問題の難易度を4つのレベルに分類し、「やや難」の問題がどのような問題の組み合わせで出来ているのかを、細かく分析していくという練習をしていってください。
1-3.C 「難」の問題で部分点をとる練習をする
「難」の問題は、基本的には、捨て問・奇問になる為、基本的な考え方としては、解けなくても合格できるという戦略で進めていく必要があります。
とはいえ、高得点を常に目指していくという姿勢は必要なので、「易」、「標準」、「やや難」の問題を解いた上で、まだ時間があると思った場合は、「難」の問題の切り崩し方をたくさん覚えていく必要があります。
しかし、大学入試は一年間しか時間がないがゆえに、全体の勉強のバランスを考えて逆算したときに、「易」と「標準」が出来ていないのに「難」の問題に手を出すということは、勉強法として良いとはいえません。
実際、京大や東大の入試では、「難」の問題ばかりに手を出して、「易」「標準」「やや難」の問題の練習をおろそかにしていた結果、本番で結果が出なかったという受験生も多くいます。
ですから、「難」の問題ばかりを解き散らかすのではなく、きちんとステップを踏んで、「易」「標準」「やや難」という順番で解いていき、それでもなお時間があるという場合に、「難」の問題を練習していくように注意してください。
では、難の問題を解けるようにするためにはどんな練習をしていったら良いかというと、難の問題をたくさん見て、その中から切り崩しに必要な要素を抽出していく必要があります。
数学の最初の書き出し、途中式変形のテクニック、発想法や思考法などを、実際の問題を通して研究していく必要があるため、これは、序盤、中盤、終盤で分けるとしたら、終盤期間にやっていく勉強にあたるといえます。
具体的な勉強法としては、難の問題だけを集めて「カード化する」という方法をオススメします。
『京大数学の27カ年』や『赤本』などから、難の問題だけを抽出して、表面に問題、裏に解答を貼り、問題を見て解法を説明するセルフレクチャーができるようにするという練習を繰り返しやっていくと、「難」の問題の切り崩し方が分かってきます。
ただ、強調しておかなければならないのは、「難」の問題は決して深追いをしすぎてはいけないということです。
こんなエピソードがあります。
これは東大の話ですが、ある年度の東大の入試問題では、大問1つ分の解答速報が半日経っても出ないということがありました。
入試問題の解答速報は、予備校の先生が実際に問題を解いて解答を出すわけですが、その年度の問題は、予備校の先生がこぞって問題を解いても、なかなか答えが出なかったのです。
結局、その問題は海外で数学を研究している大学院の友人に送り、ようやく解答が出たということでした。
このように、一般の予備校の先生が束になっても解けないような、大学院あるいは数学の専門家たちが扱ってようやく解けるような問題があるのです。
制限時間内に解けない問題があるということは、言い方を変えれば、どの問題を優先して解いていけば良いかを見抜く力があるかどうかを試す試験だということもできます。
ですから、優先順位をつけて、「易」「標準」「やや難」という問題を練習していく中で、時間があれば「難」の問題の切り崩し方を覚えていく、という順番で解いていってください。
2.京大の数学で高得点を取れる人の特徴
京大の数学で高得点を取れる人には共通している2つの特徴について説明していきます。
2-1.A「易」〜「標準」レベルの問題が苦もなく取れる
ここは、非常に重要なポイントになります。
京大数学の合格最低点は、55%くらいだということを書きましたが、「易」「標準」レベルの問題が出来ている時点で、かなり合格に近いところまできているということができます。
そして、「やや難」の問題で得点をして、合格ができるということになります。
ですから、「易」「標準」レベルの問題で苦戦していたり、やたらと時間がかかっていたりすると、「やや難」の問題に取り組んだときに、全くひらめかなかったり、考える力が残っていないということが起こってしまいます。
ですから、「易」「標準」レベルの問題が、しっかりと、スピーディーに、苦も無くスラスラ解けるという状態になっていると、エネルギーを残した状態で「やや難」の問題に取り組むことができます。
言い換えたら、典型パターンの問題は、絶対に落とさずに得点し、
ですから、テキストをコロコロ変えてしまうと、易や標準レベルの問題がスラスラ出てこないということが起きてしまうので、
一度テキストを決めたら、それを繰り返し反復練習していくことが、「易」「標準」レベルの問題を苦も無く解けるようにするのに重要です。
2-2.B「やや難」が、オーソドックスな問題でできているとすぐに見抜ける
「やや難」の問題が、オーソドックスな問題でできているとすぐに見抜けるようにするためには、「アタリをつける」という感覚が大事です。
パッと問題を見たときに、解法のパターンを複数用意して、その中からどの解法が一番良いのかを吟味できるくらいのバリエーションを増やしていくことが大事になります。
ですから、「やや難」の問題に対するアプローチにはどのような手法があるかを、普段から考えていく必要があります。
では、「やや難」の問題がオーソドックスな問題から出来ていると見抜くにはどうしたら良いかというと、具体的な方法として、自分が普段使っているバイブル本の中に、「やや難」の問題がどこに含まれているか、どこに似ている問題があるかを、絶えず行ったり来たりしながら、バイブル本に書き込んでいくのです。
最初はバラバラだと思えるものも、易と標準の問題集を完璧にした後に、問題集と過去問を何度も行ったり来たりしながら、「本当に対応する問題はないのか」、「本当にくまなく探し尽くしたのか」をいつも考えていくうちに、必ず見たことがある問題があるということに気付けるようになってきます。
すると、だんだんとやや難の問題がオーソドックスな問題で出来ているとわかるようになってきます。
また、「やや難」の問題を攻略していくときにもう一つ大事なポイントは、普段から数学の問題を考えるときに、別解をできる限り研究し尽くすということです。
解き方のアプローチの数が少ない人というのは、一つの解き方を試してみて、それで答えが出なかった場合には、もう無理だと諦めてしまったり、思考が停止してしまったりするケースが多いのです。
理想としては、一つの解き方で答えが出なくても、どんどんアプローチの仕方を変えていくことで、一番速く・正確に解けるアプローチがどれなのかを、試し続ける姿勢を持っていることです。
普段から、一つ解き方が見つかっても、他に別解はないのか、より速く解く方法はないのか、ということを常に考え続けていくようにしてください。
3.京大を目指す人におすすめの数学参考書
ここまでで京大合格に必要な勉強法についてお伝えしてきました。
この章では、京大を目指す上でおすすめの数学参考書について解説していきます。
3-1.A白チャート
京大を目指す場合には、チャート式であれば、『白チャート』よりも『青チャート』の方が良いということを思われる人も多いかもしれません。
実際、多くの進学校でも青チャートを使っていますが、『青チャート』は問題のボリュームが多いうえに、難易度の高い問題も入っているので、すべての受験生に向いているかといえば、そうとはいえません。
青チャートで京大を目指すことはもちろんできますが、基礎の問題が本当に出来ているのかを、スピーディーに確かめていくことができるという点においては、白チャートがオススメです。
「易」の問題を完璧に解けるようにするためには、白チャートが完璧にできているという状態を作ることが重要です。
実際、受験生の中には、「自分は京大を目指していて、白チャートは簡単だからやる必要がない」と言う生徒がいますが、そういう人にいざ白チャートの問題を抜き打ちで解いてもらうと、案外正解できない場合があるのです。
白チャートが完璧にできていないのに、青チャートが完璧に出来ているとはもちろん思えませんし、青チャートの方が問題の量が多く、難易度も高いので、結局途中で挫折してしまったり、1周か2周で終わってしまったりしているケースが多くあります。
そういう勉強の仕方をしていると、1年間という限られた時間の中では、受験勉強が終わらないということになってしまいます。
これは、序盤の期間に勉強してもらう内容なので、理想を言えば、夏前までに白チャートを終わらせられていると良いですが、遅くとも8月までには解いておけると良いでしょう。
◎…100%即答できる
○…一応解けるが、◎ほどの自信はない
△…解説を読めば分かるが、自分では解けていない
×…答えも分からないし、解説を読んで分からない
まずはこれらの4つのレベルに仕分けをしていって、◎の問題は除いて反復練習をしていきます。
このとき、○は◎に、△は○に、×は△に、というように、ひとつひとつのレベルを上げてけるような努力をしていってください。
その際、すべて文字にして書くと時間がかかってしまうので、一問あたり1分以内で解き方を口頭で説明する「セルフレクチャー」という方法で練習することをオススメします。
そうすることで、一問毎にかける時間が短くなり、スピーディーに反復練習することができるようになります。
ミスターステップアップでも、京大に合格している受験生の多くは、まずは白チャートを完璧にするという状態を作っています。
そうすることで、京大の問題でも大問1つ分、年度によっては大問2つ分くらいは、白チャートの考え方で解けるようになりますので、白チャートの完成度を高めていってください。
3-2.B実力UP!問題集
この問題集は、中盤から終盤期に使うテキストなので、夏休み前か夏休み頃から取り組んでいくべき問題集です。
オーソドックスな入試問題が集まっているのですが、それなりの量はあります。
しかし、この『実力UP!問題集』を完璧に完成させて、京大に合格した受験生はたくさんいます。
京大の理系であっても文系であっても、『白チャート』から『実力UP!問題集』という流れで勉強をして、3問完答・3問半答、4問完答・2問半答という受験生も続出しているので、最短コースで京大に合格したいという人にとってはオススメです。
実際、ミスターステップアップ講師の弓場先生は、この『実力UP!問題集』の全ての考え方と解き方で、全部入試問題が分かったと言っていました。
もともと弓場先生は、京大実戦模試の判定はD判定で夏の段階で200点満点中10点台でしたが、夏ごろにはA判定になり、本番の試験では、4問完答・2問半答という形で、京大に大逆転合格することができました。
毎年、ミスターステップアップで合格している受験生達は、弓場先生が辿っていったルートを実践していった結果、京大に合格することができています。
数学は、大問1つ分の配点が非常に大きいので、大問1つ分で、多くの受験生達をごぼう抜きにすることもできますし、逆に言えば、大問1つ分を手堅く取れるかどうかは、オーソドックスな問題にきちんと取り組めているかによります。
ですから、この『実力UP!問題集』をきちんと取り組んでもらえると良いと思います。
やり方のコツは、星1つから星3つというように、難易度別に分かれているので、まずは星1つの問題から取りかかっていき、優先順位をつけていくことをオススメします。
残り時間から逆算したときに、「完璧に」頭に入れることも出来ない場合もあるかもしれませんので、その場合には優先順位をつけて、星1つ、星2つ、星3つという順番で手を付けていった方が良いでしょう。
また、セルフレクチャーでは20回以上、手書きでは3~4回以上は反復練習をしていくことで、瞬時に定着できるという状態を目指してください。
「易」「標準」「やや難」「難」の4つのレベルでいうと、『この実力UP!問題集』は、「標準」の問題にあたり、オーソドックスな問題ばかりが集まっているので、京大入試の入り口といえるくらい、重要な問題が集まっています。
ですから、『白チャート』と『実力UP!問題集』の2冊を完璧に解ける状態を作った時点で、京大の数学で4割くらいは解けることになります。
また、5割5分から6割を目指していく上では、「やや難」の問題を見抜いて解けるようにしていく必要があります。
その時、この問題集が辞書のように頭の中に入っているという状態にしていくことが重要です。
辞書のように頭の中に入っている状態というのは、具体的には「この問題集の○○番の問題では、……のような解き方があったな」と、全て詳細が思い出せるくらいまで頭の中に入れておくということです。
そして、反復していく過程で、その中から使えそうな「武器」を抽出していきます。
数学において、「武器」をたくさん持っているということは非常に重要になります。
例えば、「zという点をx、1y1と置く」というように、「置く」ということひとつとっても、その知識を知っているかどうかで、解き方が変わってくるようなフレーズがあります。
そのように、実際の問題で使えるものをたくさん覚えていくことが大事です。
一つの問題の中に、4つ~5つ、場合によって10個ほど武器を抽出できる場合もありますので、問題を解いていく際に、使える武器を抽出する感覚で解き進めていってもらえると良いと思います。
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3-3.C京大数学の27カ年
『京大数学の27ヵ年』というテキストは、『実力UP!問題集』に比べるとそこまで多くはなく、100題前後です。
まず、この問題集でも「易」「標準」「やや難」「難」という4つのレベルに仕分けをしていきます。
そして、「易」と「標準」の「アタリをつけていく」という練習をします。
「アタリをつけていく」というのは、3,4分くらいで問題を見た後に、解答の方針を1分以内で判断し、解答を見てアタリかハズレかを見ていく練習のことです。
模範解答をすぐ見て、その際に問題の切り崩し方を同時に覚えていきます。
「難」の問題は受験直前に解けたら良いというくらいに思っていても良いので、それよりも、「やや難」の問題を研究していくことが重要になります。
時に、『白チャート』や『実力UP!問題集』に戻って、これらのどの問題の解き方を使っているかということをよく観察していきます。
ここでポイントなのは、最初は見つからなかったとしても、とにかく行ったり来たりすることを続け、よく観察することです。
最初は見抜けなかったとしても、この観察を繰り返していくことで「やや難」の問題が見抜けるようになってきます。
この作業は『実力UP!問題集』と同時並行で進めていくべきなので、10月~11月の秋頃から始めていくのが良いでしょう。
弓場先生の場合は、10月頃からこの作業を始めていくことで、京大の数学に慣れ親しんで、切り崩し方を覚えていくという流れができていました。
ですから、『実力UP!問題集』と合わせて進めていってください。
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4.京大の数学対策まとめ
ここまで、京大数学対策の3ステップをお伝えしてきました。
具体的なステップとしては、
- 「易」と「標準」の問題を確実に取る
- 「易」と「標準」の組み合わせでできた「やや難」の問題を取れるようにする
- さらに高みを目指すために「難」の問題に挑戦する
という戦略で進めていくことをオススメします。
入試本番までの時間から逆算して、優先順位をつけて取り組んでいってください。