大学受験塾ミスターステップアップ・講師の柏村真至です。
「古文ができない!」と相談にくる受験生は毎年、非常に多いです。
そんな受験生に共通しているのは、実は、ただ単に古文の正しい勉強法を知らないだけということ。
古文は、適切な勉強法をしっかりと理解さえすれば、誰でも確実に安定して点数を取ることができるようになる科目なんです。
私自身も大学受験生の時には古文が大の苦手で嫌いな科目の一つでした。
ですが、この記事で今からお伝えずく勉強法を実践することで、センター本番では満点(50点)を取ることができました。
当塾「ミスターステップアップ」で指導してきた生徒の中でも、50点満点のセンター試験の古文で10点から44点まで劇的に成績を伸ばした子や、早稲田大学の国語でも余裕の合格点が取れるようになった子など、多くの受験生が劇的に成績を上げています。
正しく実践すれば、誰でも古文の成績を爆発的に上げることができる、とっておきの勉強法。
それを今からご紹介させていただきます。
動画で解説!偏差値44から東大・京大・早慶上智に逆転合格する大学受験の古文の勉強法
1.古文を勉強を始める前に知っておきたいこと
今回の記事では、古文の勉強法について、大まかな流れから具体的参考書や、爆発的に成績をあげる勉強法、勉強を進めていく上での注意点なども含めて、徹底的に解説します。
まずは古文の勉強を始める前に知っておきたい、科目の特性や勉強開始時期などの情報についてお伝えしていきます。
1-1.科目の特性
古文という科目は、現代文や漢文と比べると、やるべき勉強が非常に多い科目です。
そのせいか、「共通テスト本番で、古文で大失敗してしまった…」という受験生も少なくありません。
それは文系はもちろん、理系でも同じ。
特に国公立大学に合格したいという受験生であれば、古文の勉強はしっかりと点数が取れるところまで、進めておく必要があります。
1-2勉強開始時期
古文の勉強を始める時期は、文系の人は遅くとも夏休みまでには始めるようにしましょう。
夏休みのうちに、古文単語、古典文法、そして読解のテクニックを勉強しておけば、秋以降に敬語や共通テストの過去問の演習をしていくというペースでも、十分に間に合います。
学校の授業や予備校の授業をちゃんと受けていて、春から勉強を始めていても構いません。
あくまでも、遅くとも夏休みから始める必要があることを、まずは頭に入れておいてください。
理系の受験生であれば、もちろん夏休みから始められると良いのですが、実際には他の英語、数学、理科の勉強で手いっぱいで、古文の勉強に当てられる時間がない、という受験生も多いと思います。
どうしても時間がないという受験生は秋ごろから、できれば9月には、どんなに遅くとも10月からは、古文の勉強を初めておきたいところです。
最小限の勉強で、せめて共通テスト古文で50点満点中で40点、少なくとも30点以上は取れるところをゴールとして、勉強を始めていきましょう。
2.大学受験全体の合格戦略のたて方
まずは受験全体の戦略をたてていきましょう。
主な流れとしては、序盤から順番に、まず古文単語、古典文法、読解のテクニックを身につけて、その次に敬語の勉強をした上で、最後に問題演習、過去問演習という流れです。
その流れを把握した上で、はじめは
「受験まであと何日あるか?」
を計算してみましょう。
その合計日数を3分割して、序盤・中盤・終盤と分けて勉強計画を立てます。
例えば、共通テストまで、あと270日だとしたら、270÷3=90ですから…
-
序盤:今日から90日間
-
中盤:今日から数えて、91日目 ~ 180日目
-
終盤:今日から数えて、181日目 ~ 270日目
- と考えていきます。
計画の立て上でのコツは、
「絶対毎日できること」 + 「時間があればできること」
というように、2種類に分けたうえで勉強を進めること。
特に序盤で「あれもこれも」と欲張りすぎると、それが実行できない場合、潜在意識に「英語はできない‥」と、マイナスの暗示がかかってしまいます。
ですので、はじめは、「毎日、必ずできること」をリストアップすることからスタートしていきましょう。
3.序盤の古文の勉強法
まずは、古文勉強の序盤の進め方について解説していきます。
序盤の古文の勉強は、古文単語、古典文法、古文解法の3つの勉強を中心に進めていきます。
3-1古文単語の勉強法
古文の勉強の序盤ではまず、基本的な古文単語を暗記します。
序盤で覚える古文単語は、200語ぐらいで十分です。
「200語って、少なすぎないですか?」と思われるかもしれませんが、序盤は本当にこれぐらいで十分。
その代わり、完ぺきに覚えるようにします。
「完璧に」というところが超重要。
序盤のうちに、なにか1冊を"完璧に"することで、古文が苦手だという悪いセルフイメージを取り払うことができます。
だから、決して、ここで手を抜かないようにしてください。
ページ数は少なくてもいい
単語数も少なくてもいい
とにかく、完璧にやりきること
これが序盤の約束です。
古文単語のおススメ教材は、こちらの教材になります。
まずは見出し語の古文単語の意味を、スラスラ言えることを目標にしましょう。
できれば、例文も何十回も読んでストックにしてください。
小さな本ですが、内容はしっかり詰まっていますから、 サラッと読むだけでは、もったいないです。
最終的には欄外の豆知識や派生語・類義語、細かい使い分けなども含めて、この本から徹底的に古文の栄養素を吸収し尽くすようにしてください。
3-2古典文法の勉強法
古典文法は、ただ漫然と教材を読み、授業を聞くだけでは、 なかなか成績は上がりません。
特に、古文読解に最も重要である助動詞は、接続・活用・意味を完ぺきに覚えないと役に立ちません。
誰でもはじめは、古典文法の暗記には抵抗があるもの。
誰でもできるあるトレーニングを、1日10分でもよいからやるようにすることで、古典文法は得意になれます。
そのために絶対にオススメしたいのが、古典文法を1日10分、声に出して暗記することです。
1日たったの10分ですが、毎日声に出して暗記するだけで、2週間後には、スラスラと、助動詞の接続・活用・意味が言えるようになのるです。
この本が暗記用にはオススメです。 例文を何十回も音読して覚えましょう。
『吉野式古典文法スーパー暗記帖 完璧バージョン』には、 予備校で習う、ほぼすべての文法テクニックが紹介されています。
古典文法は、声に出して覚えたほうが、はるかに定着率がよいのです。
たとえば、こんなふうにです。
- 「助動詞『る』の接続は? 四段・ナ変・ラ変の未然形接続!」
- 「助動詞『る』の活用は? れ、れ、る、るる、るれ、れよ!」
- 「『る』の意味は? 意味は受身・自発・可能・尊敬!」
毎日声に出すだけで、わずか2〜3週間で覚えることができます。
それを、さらに反復し続けて、どんなに緊迫した状況でも、試験本番の緊張したときにでも、思い出せるようにするには、1日10〜15分、必ず毎日の練習を入試が終わるまでずっと続けることです。
『吉野式古典文法スーパー暗記帖 完璧バージョン』の巻末には、助動詞の暗記表があるので、まずはそれを完ぺきに覚えることを最初の目標にしてください。
その暗記表を完ぺきに覚えることができたら、続いて、助詞、動詞も完ぺきに覚えます。
古典文法を完ぺきに暗記している状態と、暗記していない状態とでは、古文を読む力は雲泥の差です。
本がボロボロになるまで続けてみてくださいね。
3-3古文の解法の勉強法
古文が苦手な受験生は、何度読んでも本文の内容が全くつかめません。
登場人物の関係も、なにがなんだか、さっぱりわからない、ということもよく起こります。
古文単語も覚えたし、古典文法もやったのに、なかなか古文が読めない…そんな受験生に必要不可欠な勉強があります。
それは、テクニックの習得です。
読解テクニックを身につけて、覚えたテクニックをきちんと使っていると、古文の内容やあらすじを、誤解なく読み解くことができるようになります。
そのために必要な教材がこちら。
『共通テスト古文 満点のコツ』には、予備校で習う、ほぼすべての読解テクニックが紹介されています。
この参考書を2〜3カ月ぐらいかけて、徹底的に反復練習してください。
この教材に書いてあるテクニックは、 一言一句、完ぺきに暗記します。
そして、「古文を読む度に常にこれらのテクニックを実行している」という状態にしてもらいたいのです。
これで序盤の古文の勉強法が仕上がります。
3-4ゴールから発想する勉強法
古文の勉強のゴールは、あなたの志望校の過去問です。
逆に言えば、過去問で高得点が取れるようになることが、古文の勉強の目的になります。
そのためには、手当たり次第に勉強するのではなく、過去問(=ゴール)から発想して勉強を進めていく必要があります。
- スタート:序盤、基礎力、目の前のテキスト、現在の学力
- ゴール:終盤、解答力、志望校の過去問、志望校合格
そのためには、「スタートとゴールが、つながっている」 という状態を作ることが重要なのです。
ここでいう「つながっている」とは、次のような状態です。
-
終盤をイメージしながら、序盤を反復練習する。
-
「本番で7〜8割取れる本番力とは、要は、基礎力のことだ!」 と確信できるように、ゴールとスタートを行ったり来たりする。
-
目の前のテキストを完ぺきにしながら、 これを志望校の過去問を解くときに、 「どうやって生かせばよいか」をイメージしながら勉強する。
-
志望校に合格するためには、現在の学力では、 「何が足りないか?」「何点足りないか?」をイメージして、勉強する。
こうしたことが"つながっている"という状態を作る勉強法です。
3-5古文大失敗の回避術、安定して高得点を狙う
いったいどのレベルになれば、古文の入試問題を安定して解けるようになれるのでしょうか?
入試問題を安定して解けるようになるには、 ある程度のストック(=学習した全訳&原書の絶対量)が必要です。
文庫本に換算して、最低でも、1000〜1500ページ分の古文のストックを持つことです。
できれば、2000ページ以上。 理想は、3000ページ以上です。
ちなみに、『枕草子』(岩波文庫)は約300ページで、 『源氏物語』(岩波文庫)は約2000ページです。
ところで、「授業をたくさん受ければ古文は得意になる」 と考えている人も中にはいるのですが、 授業だけでは、ストックは全く足りません 。
しかも、授業をたくさん受けるとなれば、 予習・復習にも時間が必要です。
時間不足になり、 他教科にも、しわ寄せがきてしまいます。
古文の勉強には、授業だけではどうにもならない「自分でやるべきこと」が 山ほどあるということを知りましょう。
- 基本の暗記
- 問題演習
- ストックを増やす多読
これらは自分でやらねば意味がありません。
なぜなら、予備校で1年間に扱う古文のストックは、 たかだか100ページです。
必要となるストックの10分の1にも満たないのです。
これでは古文で大失敗してしまうのも、うなずけます。 授業だけでは、明らかにストックが少なすぎるのです。
1日も早く、授業に依存する勉強法から卒業しましょう。
4.中盤の古文の勉強法
序盤では基本的な勉強を徹底的に身につけるまで反復し、一冊これは完璧だと言えるような教材を作る、ということをお伝えしました。
中盤からは、よりレベルの高い知識と、本番で役立つ実践的な解法を学ぶ方法についてお伝えします。
4-1.古語辞典の丸暗記で古文の成績が飛躍
中盤からは、『古語辞典』を使います。
すでに『古語辞典』を持っているという人も、 できれば、次のいずれかをおススメします。
ところで、「ミスターステップアップ」の卒塾生に、こんなエピソードを持つ子がいました。
*
彼は、「ゼッタイに早稲田大学に行きたい!」と目標に掲げて頑張っていました。
しかし、入試まで、あと半年の時点で偏差値が30しかない。
その子に「言われたとおりに勉強するか?」と聞くと、「ゼッタイにやります!」と答えたので、その日から毎日、古文のテストをしました。
990ページぐらいある 『ベネッセ全訳コンパクト古語辞典』から、毎日10ページずつ、範囲つきテストをしたのです。
その生徒は、本当に一生懸命勉強し、 毎回9割以上正解しました。
すると、その約4カ月後・・・
彼はたった4カ月で、偏差値30→70にまで成績を伸ばしたのです。
もちろん、早稲田大学にも楽勝で合格。
まさに大逆転を勝ち取った典型的なストーリーです。
でも、こんなメチャクチャな方法は、 誰にでもできるわけではありません。
いくらなんでも、辞書を覚えるなんて……。
たしかに、そう思います。
そう思いますが、 人間、本気でやろうと思えば、 それぐらいのことはできるわけです。
あなたに、「古語辞典を覚えなさい」とまでは言いません。
そんなメチャクチャなことは言いませんが、 このエピソードを聞いて 「今までの自分の努力は"へなちょこ"だった……。もっと気合いを入れよう!」と思い、気合いを入れ直すきっかけになれば幸いです。
古文読解に必要な情報は、 ほぼすべて古語辞典に書いてありますから、 ヒマさえあれば、"辞書を読む"ことをオススメします。
4-2.古文原書の読みまくりでストックを増やす
さて、 「ある程度の古文単語を覚えた」 「古典文法も覚えた」 「『ベネッセ全訳コンパクト古語辞典』も用意した」 となったなら、次のステップに進みます。
次のステップは、原書(全訳つき古文)を 読みまくること。
原書を読むのに心理的な抵抗があれば、 全訳を読むだけでもかまいません。
限られた時間の中で、 何倍もの効果を上げるには、これが一番です。
比較的読みやすいのは、 『竹取物語』、『伊勢物語』、『徒然草』あたりです。
そこから始めて、『枕草子』を読破すれば、ストックは、 かるく1000ページを越えます。
ちなみに、枕草子は 『桃尻語訳・枕草子』橋本治・著(河出書房新社)がおススメ。
原書に手を出しづらいというのなら、とりあえず、 全訳本から読み始めてください。
とても読みやすいので、知らず知らずのうちに引き込まれ、 平安時代の人のものの考え方が身につくでしょう。
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源氏物語は、マンガ『あさきゆめみし』大和和紀・著( 講談社) もしくは『ゴロゴ板野の源氏物語講義』板野博行・著(アルス工房) なども必読です。
時間のある人は、『源氏物語』瀬戸内寂聴・著(講談社)を 読んでみるとよいでしょう。
全巻読み切るのは、なかなか大変ですが、 これだけでも、古文のストックは爆発的に増えます。
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4-3.音読で古文の栄養分を吸い尽くす
勉強法には、目に見える部分と目に見えない部分とがあります。
目に見える部分を鍛えるというのは、
- 「英単語を何千語覚える」
- 「どの教材がおススメです」
- 「ノートは、こんなふうにとればいいです」
- 「この問題は、こういうふうに解けばいいです」
このようなことが、目に見える部分の勉強とアドバイスです。
目に見える部分の情報は、 その気になれば、誰でも手に入れられます。
ネットで紹介されていたり、本に書いてあったり、 塾で教えてくれたり、学校の授業で教えてくれたりします。
しかし、そういう目に見える情報というのは、 手に入りやすい代わりに、人によって合う、 合わない(=相性)があります。
性格、実力、頭の良さにより、相性があります。
しかし、目に見えない部分の情報は、 そうカンタンには見つかりません。
カンタンには見つかりませんが、 いったん見つければ、その情報は、 誰にでも当てはまります。
性格、実力、頭の良さには関係ありません。
この勉強法では、この目に見えない部分を重視します。
だから、潜在意識とか、ゴールからの発想とか……、 一見、受験には関係なさそうなことも説明しています。
しかし 実は、これが関係大アリなのです。
目に見えない部分を変えなければ、 決して、人生は変わりません。
目に見えない部分を変えなければ、 逆転合格もできませんし、 わずか数カ月で偏差値を20も上げることもできないのです。
では、 古文における「目に見えない部分」はどうやって鍛えればいいのでしょうか?
その方法はさまざまですが、もっとも効果的なのは音読することです。
古文は、英語と同じように、音読することが何よりも成績アップにつながります。
そこでオススメなのがこの本。
この本を毎日10〜20分ずつ音読するようにすれば、 いわば「古文の栄養分」を吸収することができます。
古文独特の表現・古文のニュアンス・古文のリズムを カラダで覚える(潜在意識に入れる)ことができ、当然、古文のストックも増えます。
授業を1時間、聞くなら、 音読を1時間するほうが、絶対に効果が出ます。
音読を毎日続けることによって、 本物の古文が潜在意識の中にインプットされて、 やがて"古文脳"が目覚めます。
最初から何時間もやろうとせずに、 まずは、毎日10〜15分以上、音読する習慣をつけるところからはじめてみましょう。
習慣=潜在意識ですから、音読も習慣化することが大切です。
音読しているうちに、 中盤以降で必要な単語(約550個)も、 自然に覚えられます。
文学史の勉強にもなりますので、 隅から隅まで頭に入れるようにしてください。
4-4.敬語が読解の鍵を握る!
受験生から、「敬語がニガテです……」という悩みをよく耳にします。
しかし、本気で古文の敬語をマスターしようと思うなら、 5日もあればマスターできます。
おススメはこの教材です。
古文が難しいのは、主語がわかりにくいからです。
いちいち主語が省略されていたり、 主語が入れ替わったりします。
単語・古典文法が完ぺきでも、 主語がわからないと、ストーリーがつかめません。
そこで、主語を確定するために ヒントとなるのが、"敬語"です。
暗記しなければならない知識は 『吉野式スーパー古文敬語 完璧バージョン』の 18ページから36ページまでの、 たった19ページにすべて紹介されています。
敬語が理解できれば、読解力もさらにアップします。
また、入試までに時間がある人は、和歌の対策をやっておくようにしましょう。
和歌を完ぺきにするのは難しいですが、最低限の知識(掛詞、枕詞、序詞、縁語など)を覚えておくようにしましょう。
これらの知識があるだけでも、 共通テストなどで正解を選ぶことができることもあります。
ただし、和歌の深追いは禁物です。
おすすめの教材はこちらです。
この教材を使えば、10日間で入試に必要な知識を最短最速でマスターすることができます。
4-5「主語」の把握が古文読解の1番のポイント!
敬語表現が主語の把握のために鍵を握るということは先ほど説明しましたが、実は古文の読解において、主語の把握こそが1番大切なポイントです。
古文単語・文法を仕上げている受験生に多い質問として、「どれだけ古文単語・文法を覚えてテクニックを駆使してもなかなか古文が読めない!」というものがあります。
なぜ、そうなってしまうのかというと、主語が明確に把握できていないから。
そもそも日本語は、英語のように主語を明示しません。
それは古文でも同じ。
受験生からすれば、「書いてくれないから主語がわからない」ということですが、逆に作者は「わざわざ書かなくても分かるよね」と思って書いているわけです。
つまり「主語をわざわざ明示していなくても主語が分かるようなヒントが必ずある」ということです。
4-5-1古文攻略の肝となる、4つの主語把握のやり方
主語を把握するためには、主に4つの手段があります。
まずは、先ほど紹介した、『共通テスト古文 満点のコツ』を繰り返し何度も反復して、スラスラと使いこなせる状態にしましょう。
前提として、『共通テスト古文 満点のコツ』を完璧にすることを、まずは優先するようにしてください。
4-5-2敬語から主語を把握する
例えば、尊敬語が付いていれば身分が高い人、謙譲語しかついていなければその主語は身分が低い人、そして目的語は身分が高い人ということがわかります。
そのように敬語を使えば、主語を特定するができ、敬語を読解に活かすことができます。
4-5-3古文常識から主語を把握する
古文が書かれた当時、特に出題の多い平安時代などでは、貴族の女性は自分の顔や姿を見られることは、現代でいう裸を見られるくらい恥ずかしいことでした。
結婚も、男性が女性の元に三日間通うことで正式に結婚するという流れでした。
つまり、貴族の女性が外出することはほとんどなかったわけです。
ですから「〇〇に行く」「どこどこの屋敷に行く」という表現があったら、その主語は男性であると特定できます。
筆者、つまりその時代の古文常識を知っている受験生と知らない受験生では、ここで大きく差がつくことになってしまうのです。
4-5-4設問注・リード文のヒントを活用する
リード文で、「光源氏が須磨へ行った場面から始まる。以下はそれに続く文である」となっていれば、少なくとも最初の部分は、光源氏が引き続き主語なのだろうということが推測できます。
また、設問の部分に「傍線部は〇〇の心情である」というように書いてある場合もあります。
このように注やリード文を見れば主語がわかることがありますので、見落とさないようにチェックしておきましょう。
4-5-5会話形式の本文の場合の主語の把握法
男女2人の登場人物の問題文があるとします。
本文を読み進めていくと、誰かが発言して、「を・に・ば・ど・ども」があって主語が切り替わる、さらに進めていってまた主語が切り替わる、というのが定石のテクニックですね。
確かに「A→B→A→B」といった具合に主語の切り替わりのタイミングで、主語がAであるのかBであるのかを追って行くことはできます。
しかし、数行読んだだけではAとBの、どちらが男でどちらが女なのかというのは分からないということが、かなり発生するのです。
古文が読めない人というのは本文を3行くらい読んで、分からないからと途中で諦めてしまいがちですが、その段階で諦めてしまうのはまだ早いです。
辛抱強く我慢しながら読み進め、本文の後半になったとしても、ある箇所で主語が分かれば、ドミノ倒しのように次々と主語を明らかにすることができるのです。
以上の4つが主な古文の主語の把握法です。
どの切り口で主語がわかるのかは、自分で読み進めながら考えていく必要があります。
でも、入試の問題には、どこかで主語がわかるように、必ず出題者がヒントを与えてくれます。
とにかく古文が難しいのは主語が分からない点ですが、 一箇所でも主語が把握できれば周りがわかってくるので、全ての箇所の主語を一回読んだだけで把握する必要はありません。
わからないなという気持ちを先行させるのではなく、辛抱強くヒントを掴めるタイミングを待ちましょう。
一箇所主語がわかれば、そこを基準にわかる範囲を広げていけばいいのです。
偏差値70の受験生でも、英語みたいに最初から直読直解しているわけではなく、一箇所わかるポイントがあって、そこを切り口にどんどんわかる範囲を広げて、設問を解いて合格点をとっている、というのが実情なのです。
古文の読解、とくに主語の把握に関しては、テクニックを使う、敬語を活用する、古文常識をもとに類推するなどの技術をとことん活用することが、非常に重要です。
5.終盤の古文の勉強法
ここまでに、古文単語、古典文法、テクニック 、音読、そして敬語の勉強をしてきました。
これらの次の段階は、いよいよ問題演習です。
5-1.問題演習
1週間あたり、最低、2〜3題は解きましょう。
私立文系の受験生で、時間をさける人は、 1週間あたり、5〜6題は解きましょう。
文系の受験生なら、以下の教材がおススメです。
どれも良書ですので、 時間の許すかぎり解いていくことを推奨します。
理系の受験生なら、 『大学入学共通テスト 国語(古文・漢文)の点数が面白いほどとれる本』という共通テスト対策用の教材や 『共通テスト総合問題集 国語』(河合出版) という予想問題集で対策を進めてください。
解き終わった問題は、全訳を読んで、 問題文(古文)を音読して、 これも自分のストックにしていきましょう。
5-2.共通テスト対策
共通テスト古文の対策には、共通テスト古文の研究が一番効果的です。
基本的に古文の本文が正しく読めれば、設問は必ず解けるのですが、実際には共通テストの過去問は非常に本文が難しいものがほとんどです。
では現実的にどこに注目すればいいのかということについてお伝えします。
-
リード文
-
設問
-
選択肢
-
注
これらのところに、問題作成者が与えてくれている、たくさんのヒントがあります。
ですので、本文がわからなかったとしても、この4点にしっかり注目しながら、ヒントを見つけましょう。
例えば、設問に「女君の気持ちは何なのか?」と書いていれば、そこの主語がわからなかったとしても、「この一行の主語は、女君だったんだな」とわかります。
他にも、また間違ったものを選びなさいという設問があった場合、5個の選択肢のうち4つは正解なわけですから、それを頼りに「本文の内容はおおよそこうだな」と推測することができます。
このように、どこにヒントがあるのかは、なかなか師範の過去問ではなかなか書いておらず、正攻法の解き方しか掲載していませんので、自分で見つけていく必要があります。
本文注、リード文、設問、選択肢などに注目して、解いていくことを心がけてください。
そうすれば難しい古文であったとしても必ず解けるようになります。
本文が難しい時ほど選択肢や設問が簡単、逆に本文が読みやすい時は選択肢が非常に紛らわしいという作問者の工夫がありますので、設問と本文の難易度によって、問題作成者はバランスをとっていると考えましょう。
すると、難しい本文が出てきても、「今回は設問が簡単だろうから何とかなるだろう」と思うことができます。
5-3.共通テスト古文の過去問を解き始める時期
文系の受験生は秋ごろから解いていけるのが理想、理系の受験生だと11月から、遅い場合には12月なってしまっても構いません。
しかし、12月以降に過去問を解き始めた場合は、2〜3日に一回は必ず解くようにして、最低でも共通テスト本番までに10回は解いておくようにしてください。
また、時期ももちろん大事なのですが、回数としても最低10回は解いている状態をつくりましょう。
5-4.過去問の効果的復習法
まずは5年分を徹底的に研究することを紹介します。
特に古文の場合は、一回答えを見て、かつ全訳を読んでしまうと、なかなか復習がしにくいという性質はあると思います。
ですが、まずは古文を徹底的に音読してみて、古文を音読したらすぐに現代語訳ができるのかどうか、そして古文の場合は現代語訳ができるだけではなく、その情景がイメージできるかどうか、ということが大切です。
加えて大事なことは、登場人物でも名前が変わっている、呼称変化という現象に注意することです。
どのように変わっているのか、注に系図が書かれていた場合には、その登場人物たちがどのような関係なのかというところまで、しっかりチェックしておくと、本文が非常に読み進めやすくなります。
そして、「を・に・ば・ど・ども」などの主語が変わりやすい目印があれば、主語が誰から誰に変わっているのかなども注目して、時には本文に書きこみながら、復習するようにしてください。
また、過去問研究にあたっては、古文の過去問を2冊用意する事をオススメします。
1冊は何も書き込まずに復習用にして、もう1冊は自分のわかったことや、考えるプロセスなどを書き込む。
または古文の本文の隣に現代語訳を書いておくなどの、書きこみ用として使うようにする。
このように2冊の過去問を使い分けておくと、とても復習しやすくなりますよ。
書き込み用でなんども復習していき、何も書いていない方の共通テスト過去問の本を使って、音読したり解説を再現したりしていきましょう。
書き込まれていない方で音読していく中で、現代語訳が思いつくのかどうか、その問題のポイントが分かるかどうか、このような点を復習しておけば、2冊持っていることによってヒントありとヒントなしで定着度合いをチェックできます。
以上のポイントを踏まえて、古文を攻略していきましょう。