こんにちは、キョウコです。
今回は、村田先生からうかがったお話です。
2歳児の父親でもある村田先生。日頃は、塾生指導を務めながら、
保護者様向け勉強会の講師を務めたり、YouTube 動画をどんどん更新するなど、
親御様向けに教育を語る機会が増えてきました。
最近では、小学生や中学生の子を持つ親御さんへもアドバイスされています。
その中から、今日はゲーム好きな子どもとの接し方をご紹介しましょう。
うちの子、もしやゲーム中毒?
先日、小6の子どもとゲームの付き合い方に関するご相談がありました。
「息子は小学6年生です。ゲームが大好きで、放っておくと一日中しています。
なので使用する時間を決めて、自分で決めたことを守ると宣言させましたが、
約束を守れません。約束なので3日間ゲームを取り上げるのですが、
そうすると泣いたりソワソワしたり、落ち着きがなくなるのです。
どうすればいいでしょうか?」
このようなご相談は、小学生だけでなく、中高校生の親御様からもよくあります。
子どもの様子がおかしくなってくると、
もしかしてうちの子、ゲーム依存症? と心配になったり……。
そんな子どもに対して、親はどうふるまえばいいのでしょう。
子どもとゲームはどんな関係?
村田先生からは、こんなお話からはじまりました。
「わたしたちの塾では、18,19歳ぐらいの子と関わることが多いので、
その年代の子の話になるのですが、
ゲームにハマって、依存症になってしまっている子って、
ときどきいるんですね。もちろん、ならない人もいますよ。
どうして、依存症になる子とならない子がいるか……というと、
ポイントは、どういう目的でゲームをしているか。
言い換えれば、
ゲームがその子にとって、どういう役目をはたしているか、です。
たとえば、勉強の合間に数分リフレッシュする程度ならいいのです。
それだけで気分転換になり、日常生活でもバランスがとれているなら、
特に問題はないですよね。
でも、たいていは、それ以外に目的がある。
たとえば、親御さんや学校の圧力から逃れる「現実逃避」という目的です。
誰でも、現実生活からの圧力やプレッシャーが強いと、
そのストレスから解放されたい、現実から逃れたい、と思うものです。
その時、ゲームが逃避の手段となる。現実から逃げたいと思ったとき、
ゲームはとても身近で、スイッチ一つでカンタンに空想の世界に入れますから」
ゲームにはルールやストーリーがあって展開が速く、刺激が強いもの。
それが心地よくて、やみつきになってしまう。
ですが、そういった「楽しさ、おもしろさ、刺激」がワナだといいます。
その「快」のおかげで人はそこから離れがたく、居ついてしまい、
抜けられなくなる、というのです。
さらに、村田先生は、こんなこともおっしゃっていました。
「たとえゲームがうまくいかず、敵にやられた!! としても、
リセットボタン一つで、何度もやり直せます。
こういうカンタンさって、現実の人間関係ではほとんどないですよね」
現実の人間関係は、つくるにも深めるにも時間がかかります。
エネルギーを注いで苦労しないと、関係を維持できないこともある。
一方、ゲームの世界は相手がコンピュータですから、
始めるのも止めるのもカンタン。
人間関係の面倒くささが苦手という人には、ラクな世界です。
リアルな人間関係の間で必要になってくる面倒なことを、
ただ「不快」だと捉えてしまうと、
人間関係そのものを避けたい気持ちが強まってしまうでしょう。
「何から逃れるために」ゲームをしているの?
数年前の塾生に、高校時代にゲームにのめり込んでいたMくんがいました。
母親から「勉強してるの?」「大学はどうするの?」と言われることが、
Mくんにとって一番のストレス。
だから、「進路と母親」とは向き合いたくなかった。
母親から「ゲームをやめなさい」「勉強しなさい」と言われる度に、
自室に閉じこもるようになり、だんだん母親とも会話がなくなり、
ほぼ毎日ゲーム漬け……。
人と接しない分、有り余るエネルギーを全てゲームに注いでいたのです。
実際、このようなケースは珍しいことではありません。
ゲームの代わりに部活や恋愛、趣味に打ち込む人もいます。
現実へのストレスと向き合わなくていいように、何かに打ち込んでいるなら、
たとえその対象を取り上げても、すぐ代わりになるものを見つけるでしょう。
ですので、こういう場合は「子どもにゲームをやめさせるには?」
と考えるのではなく
そもそも「何が」子どもをゲーム依存にさせているのか?
と考えてみることが大切。たとえば、
子どもに親の価値観を押し付けてないか、とか。
学校で何か問題を抱えていないか、とか。
今までとは違う目で、子どもを見てあげていただきたいのです。
ゲームよりも面白い世界があるんですよ!
私たちの塾ミスターステップアップの塾生にも、
「高校時代はゲームばかりやっていた」という子は毎年います。
でも、入塾して数か月もしないうちにゲームを手放し、
受験勉強に夢中になっていく姿を何人も見てきました。
たとえば、元塾生Yちゃんは、浪人が決まり、ステップアップに
入塾するまでは、家族そろってゲーマーだったと言います。
家族みんながゲーム好きなわけですから、
何の気兼ねもなく毎日、ゲーム三昧。
ですが、入塾して約1か月で自発的にやめました。
そうして夢中になって勉強し、1年で京都大学に合格しました。
さらに昔、創始者の南極老人が塾長を務めておられた頃にも、
かつてないほどゲーム好きのMくんが入塾してきました。
彼は、人とのコミュニケーションはとにかく苦手でしたが、
なんとゲームの世界では「日本一」になるほどの腕前。
そんな彼も、入塾して2週間で自らゲームをやめます。
そして、塾で一番熱心な受験生となっていったのです。
どうしてこのような変化が起きるのでしょう。
それは、創始者の南極老人から続いてきた、ある教育方針のおかげ。
私たちステップアップでは、勉強のやる気がでない子に、
ムリに勉強させようとはしません。その代わりに、
世の中に興味がわくような、ありとあらゆる話をします。
たとえば、今、実際に起きている事件やその背景にあるもの。
歴史の裏側や、これから起こる未来について。
また、マスコミの影響や、世界経済の成り立ち。
さらには、偉人たちの奮闘の物語を語るのです。
すると、塾生たちはだんだん、誰かが商品としてつくった
ゲームなんてつまらないな、と思うようになったり、
世の中の真実をちゃんと知りたい、と思うようになります。
そうして意識が変わり、
もっとやりがいのあることを求めるようになっていきます。
「自分も、社会の何かを変えることができるかもしれない。
そのためにも、今、勉強したい!」と火がつき、
目の前の「受験勉強」に本気になっていくのです。
子どもから憧れられる生き方をしていますか?
ゲーム依存症の話になると、ついゲームを悪者にしがちですが、
実際のところ、ゲーム自体は悪くはないんですね。
子ども自身が、ゲーム以上に楽しい世界を知らないことが
そもそもの原因です。
魅力的でやりがいのある夢や目標があったり、
憧れの大人に出会っていたら、
それほどまでゲームを必要としないでしょう。
最後に村田先生は、こうまとめられました。
「子どもは、周りの大人をよく見てます。
『あんな風に、生きたい』と憧れる大人がいない環境で、
ただ圧力だけをかけられる毎日を過ごしていたら、
ゲームの世界に引きこもってしまっても無理はありません。
親御さんのいうことを素直に聞かないとしたら、
『親のようになりたい、と憧れられていないから』です。
そんな場合は、もっと子どもに外の世界を見せてあげてください。
そして、口であれこれ言わず、行動で示してあげるのです。
子どもは、お説教ではなく、お手本を求めています。
親が、理想や目標に向かって一生懸命生きる姿を見せることが、
最高の教育なのですから」
まとめ
子どもがゲーム中毒になってる? と心配になったら…
・子どもがゲーム依存になるか、ならないかは、ゲームをする目的による。
・子どもは、現実逃避のためにゲームをしていることがある。
・ゲームの手軽さを「快」、人間関係を「不快」と感じると、
人とのコミュニケーションを避けるようになる。
・子どもにゲームをやめさせることを考えるより、
ゲームよりも深くてオモシロイ世界を見せてあげることが大切。