英作文って、どこから、どうやって勉強していけばいいんだろう?
そう考える受験生は少なくありません。
一見すると難しそうな英作文ですが、きちんとしたコツを掴めば案外スムーズに上達していきます。
今回は、私たち「大学受験塾ミスターステップアップ」で実際に教えている英作文勉強法をお伝えします。
ここで基本を抑えておけば、英作文に対するニガテ意識もなくなって、スラスラと早い時間で書けるようになりますよ。
なぜ、英作文が書けないのか?
多くの高校・予備校では、英作文の授業が4月から始まります。
しかし、序盤の時期から英作文の勉強をしても、実はあまり意味がないのです。
基本的な英単語と文法用語が十分使いこなせない段階で、どんなにすばらしい英作文の授業を聞いたり、添削してもらったところで、ただ同じミスを繰り返してしまうだけ。なぜ間違っていたのかがわかりません。
時間も労力も注いでいるにもかかわらず、勉強する順番が間違っているせいで、成績は全く上がらない…だなんてケースも少なくないのです。
ミスターステップアップの創始者である南極老人が若かりし頃(当時21 歳)。
ある生徒の家庭教師をしていたときのことです。
「英作文だけを教えてほしい」と頼まれたのですが、南極老人は3カ月間で100問以上もその生徒の英作文を丹念に添削してあげました。それだけ丁寧に指導したのだから、
「きっと英作文の成績は爆発的に上がるだろう」と南極老人は思ったそうです。
ところがです。3カ月たっても、ほんの少ししか上がりません。それはこの生徒には英語構文のトレーニングが抜けていたからです。そのため、どれだけ南極老人が指導しても、ほとんどムダになってしまった。教えたことは、少しも実にならなかったのです。
そこで、基礎から英語構文を教え始めたとたん、英作文の成績が上がり出したそうです。英文解釈にも、英作文にも、構文の知識は欠かせないのです。
いきなり英語を書くことに心理的な抵抗(ていこう)がある受験生も少なくありません。
いや、ほとんどの受験生は、書くことにも、読むことにも、聴くことにも抵抗があるでしょう。(むしろ、そのほうが自然ですよね。)
もちろん、〝英語脳〞が開花すれば、読むことも、聴くことも、話すことも、音読することも、意識の壁はなくなります。
そのレベルに達するには、さらなる音読、さらなる精読、さらなるリスニングを重ねていく必要があります。
それらにプラスしてほしいのが、ライティング(英作文)の練習。
英作文の導入として役に立つのが整序英作文です。
『英語〔語句整序〕 (マーク式基礎問題集5)』あたりを5〜6回、反復練習した後に、例文を暗記してみてください。書ける、という感覚がわかります。
英作文の基本とは?
さまざまなレベルにあわせた英作文の対策についてお話します。
まず、最初にやってほしいのが、例文の暗記です。おススメは‥
- 『英作文基本300選』飯田 康夫・著(駿台文庫)
英作文を書く、といっても一からすべて自分で作れるようになる必要はありません。
今までに自分が、何十回も口にし、何十回も目にし、何十回も書いてきた英文の型のようなものをそのまま借用して書ければいいのです。
そのため、英作文は別名「英借文(えいしゃくぶん)」とも言われます。
難しい単語・熟語を使った英文や、オリジナリティーの高い英文よりも、まずは中学3年の教科書レベルのシンプルで正確な英文を目指しましょう。
そのためには、ある程度のストック(知識)と慣れが必要です。
ストックとは、これまでにあなたが英語を、音読したり、黙読したり、耳にしたり、書いたりして、あなたの頭の中に蓄積した(英語の)知識のことです。
慣れとは、からだで覚えること。英作文の場合ですと、日本語を英語に訳すという作業を、実際に、手を動かしてみて、ああでもない、こうでもないと、試行錯誤してみて、体験を通して学ぶことです。
はじめからハイレベルな教材を使うよりも、『入門33パターン』くらいライトなものを使って、英作文の基本となる例文を暗唱することをおススメします。
これは、どの教科にも共通することですが、基本レベルの問題を、1問解くのに2分もかかるなら、それを1分以内に解けるように練習し、さらに50秒、40秒、30秒、20秒……というふうにスキルアップ(技術向上)していくべきです。
『入門33パターン』が1問あたり30秒以内に書けて、10秒以内にスラスラ〜っと言えるようになれば、それだけで、英語を書くことに対する心理的抵抗、意識の壁はなくなるでしょう。
ところが、多くの受験生は、この基本レベルのトレーニングをバカにして、まじめに取り組もうとしません。
南極老人は、こう言います。
「テストしてみるとわかるが、偏差値60以上の中級者でも、基本レベルの英作文がサーッと正確に書ける人は、案外、少ないよ」と。
私も、同感です。案外、少ない、どころか、ほとんどおりません。
入試は1点差の勝負です。私の友人は、なんと、わずか0.1点差で京大に落ちました。(成績証明書も見せてもらいましたから本当です。)
現役で1点差で京大に落ちた人が、1浪して0.5点差でまた京大に落ち、2浪してまた1点差で京大に落ちたという人も知っています。(その人は、高3の時点で、京大実戦模試の成績優秀者でした!)。
実際に、そういう受験生がたくさんいるのです。だから、1点、2点を粗末(そまつ)にしてはいけません。取れるところで、確実に取らなくてはいけません。それは、英作文に関しても、言えることです。
どうすれば、英作文の上級者になれるか?
英作文においても、入門、基本から、中級、上級へと進んでいくにしたがって、英語構文の知識が必須となります。
『英語リーディング教本』のトレーニングをまだ完全に終えていない人は、できるだけ早く済ませておきましょう。
英作文を学ぶ(日本語を英語に訳す)際に、カギになるところは、日本語と英語との、
・構造の違い
・ルールの違い
・発想の違い
・表現の違い
です。
これらのうち、構造については、「英語構文を学んでね」、「『英語リーディング教本』のトレーニングを終えてね」で済む話です。
また、ルールについては、「英文法やろうね」、「『レベル別英文法問題集』やろうね」で済む話です。
では、発想については、どうでしょうか。日本語と英語との、発想のちがい。難しそう。でも、大丈夫。私に言わせれば、ちゃんと、毎日、英文音読を続けていれば、大学受験に必要なレベルは、しぜんに身に付きます。心配いりません。
最後に残された、日本語と英語との、表現のちがい。これについては、以下の中から一冊~二冊、選んで、学んでください。まずは、一冊を、完ぺきに。
- 『減点されない英作文』、『もっと減点されない英作文』河村一誠・著(学研)
- 『竹岡広信の英作文が面白いほど書ける本』竹岡広信・著( 中経出版)
- 『大学入試英作文実践講義』富岡 竜明、G・ワトキンス・著( 研究社出版)
これらには、大学入試の英作文に必要な知識が、ほとんど網羅(もうら)されています。
難関大学になればなるほど、英語に直訳できないような表現がたくさん出てきます。それをいかに和文(・・)和訳(・・)する(英語にしやすい日本語に読みかえる)かが、カギになります。
英作文は「英借文」です。自分の知っている英文に似た形に変えて表現することに力を注いでください。
中・上級レベルにたどり着くには、「自分の土俵に持ち込めれば、完ぺきに近い英作文が書ける!」と断言できるようになることが必要です。
そして、解いていく問題の解答はできるだけ暗記してください。そのときに、「ここまでなら日本語の文を言いかえてもセーフだ 」という自分なりの基準を持つようにしていきましょう。
最初は大ざっぱにしか決められなかった基準も、サンプルが多く集まるに従って、より正確な基準となっていくでしょう。
ここまではセーフで、ここからはアウト、というギリギリのラインを見極められるようにするのです。これは、人に教わるのではなく、自分で体得(たいとく)するしかありません。
この段階になって、はじめて、英作文の添削指導などが効果を発揮します。
学校や塾の先生などに、遠慮せずどんどんお願いして、添削してもらうようにしましょう。そうすれば、合格レベルの答案の基準を自分の感覚に刻みこむことができます。
英作文を書いて、見直すときに、必ずやって欲しいことがあります。
それは、自分が間違うポイントを指折(ゆびお)り数えることです。これは、実際に南極老人が受験生のときに実践していたことです。
例えば、
「時制は、大丈夫か?」、「名詞の単数・複数は、大丈夫か?」、「冠詞は、大丈夫か?」、「構文は、大丈夫か?」、「語句の照応は、大丈夫か?」と一つずつ確認していました。
そうすることで、ケアレスミスを防ぐことができます。