『和歌の修辞法荻野文子の特講マドンナ古文』の効率的な使い方
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『和歌の修辞法荻野文子の特講マドンナ古文』の効率的な使い方

2019年10月5日

2019年10月6日

古文

こんにちは、ミスターステップアップの柏村真至です。

今日は、古文の中でも特に、「和歌の勉強法」についてお話します。

和歌を勉強したい人におススメなのが、

この 『和歌の修辞法―荻野文子の特講マドンナ古文』 です。

1.おススメの受験生・使い方

「和歌に強くなりたい」「二次試験は和歌で差をつけたい」受験生へ。

この本の対象は、 東大・京大などの旧帝大を目指す文系の受験生 です。

たとえば、センターレベルの和歌を学びたい人や理系の人、あまり古文にとる時間がない人には、この本はちょっとやりすぎかな、というぐらいの濃いレベルになっています。

ですので、この本をおススメしたいのは、

•「もっと古文に時間をかけられる」

•「和歌をとりわけ得意にしたい」

•「国公立志望で、二次試験に古文があり、和歌が頻出である」

という受験生です。

2.こんな用法を知っていますか?

『和歌の修辞法―荻野文子の特講マドンナ古文』 には、和歌の基本から応用まで全てが入っています。

他の参考書ではそんな修辞法を見なかった、というようなものまで書かれています。

和歌の基本的な4つの修辞法と、教材で紹介されている応用をいくつか紹介します。

2-1.枕詞

枕詞は慣用的に一定の語を導き出す詞です。

原則は五音で、初句か三句のみにあらわれ、枕詞は訳しません。

例えば、「あしひきの」という枕詞からは、「山に関する語」が導き出されます。

あしひきの 鳥の尾の しだり尾の……」といった具合です。

  • あしひきの(足引の)  → 山
  • あおによし(青丹よし) → 奈良
  • からころも(唐衣)   → 着る・裁つ・袖
  • たらちねの(垂乳根の) → 母
  • ちはやぶる(千早振る) → 神・神社の名

などは最頻出の枕詞になります。

枕詞は訳に出さなくても意味が通じることが多いので、前から直訳気味に訳していって、意味が通らない場合、その五文字は枕詞ではないかと見当をつけます。(例外もあります。)

「和歌の修辞法」には、こういった暗記すべき枕詞が、語源とともに載っていますので、これらを全て暗記するようにしてください。

2-2.掛詞

掛詞は、同音意義を利用して、一つの言葉に二つ以上の意味を言いかける技法です。

有名なものでいうと、「まつ」という音に対して、「待つ」と「松」という二重の意味が掛けられるようなものです。

掛詞は、前から直訳気味に訳していくと、途中で意味がギクシャクしてしまうところにあります。

掛詞がある場合、掛けられている語の一方が、

事物・景色描写(情景・景色・地名・気候・植物・動物・鳥など)で、

もう一方が、人物・心情描写(気持ち・動作・行動)というパターンが圧倒的に多いです。

 

例えば、

「立ち別れ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば いま帰り来む」

という中納言行平の和歌があります。

 

この和歌を前から素直に直訳していくと、

第二句の「いなばの山」「因幡の山」となり、「(旅)立って別れ 因幡の山」というように、ギクシャクした訳になってしまいます。

そこで、「往なば」という意味を当てはめると、「旅立って別れ、もし遠くへ行ったなら」となり、スムーズに理解できます。

このように、「いなば」という同音の部分に、「因幡」「往なば」の二重の意味が掛けられているが掛詞です。

 

また、この和歌では、「峰に生ふる まつとし聞かば」の部分も同様に掛詞が使われています。

峰に生えているのは「松」ですが、実際に訳してみると、

「因幡の山の峰に生えている松ともし聞いたら」となり、意味がギクシャクしてしまいます。

ここでは「待つ」の意味を当てはめることによって、「あなたが待っていると聞いたなら」とするのが適当な訳です。

そうすることで、第五句の「いま帰り来む(今すぐにでも帰ってこよう)」という内容にもつながってきます。

このように、掛詞で着目したいのは、人間の心情の方なので、人物・心情描写の方を「表の意味」、事物・景色描写の方を「裏の意味」としています。

ですから、掛詞はまず自然(裏の意味)を狙って、そこに掛けられている人間の心情(表の意味)を読み解くという方法で見つけていきます。

2-3.序詞

序詞とは、創作的にある語句を導き出す詞で、本論に対して序論の役割を果たす修辞法です。

序詞には、

①七音以上(長さの限度に決まりはない)

②口語訳をする

③歌人の独創により表現は自由(枕詞と異なり、同じ表現をほかの歌人が使うことはない)

という3つの特徴があります。

 

序詞を見つけるときには、前半に事物・景色描写が後半に人物・心情描写が詠まれていることが多く、これらが一見関係なさそうに見えるとき、序詞がある可能性が高いという見当をつけます。

 

一つ例を挙げて見てみます。

「あしひきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む」

という柿本人麻呂の和歌では、

第一句から第三句までが序詞になっており、第四句以降が本論のようになっています。

 

「あしひきの 山鳥の尾の しだり尾の」で七音以上になっていて、

「山鳥の垂れ下がった尾(が長い、そのように)長い夜」というように、

第一句から第三句までは、後ろに続く前フリになるようにつながっているのです。

 

このテキストでは、序詞の見つけ方のポイントが、4段階方式で分かりやすく紹介されています。

 

2-4.縁語

縁語とは、ある語を中心に関連のある語を和歌の中に散りばめる技法です。

 

例えば、「川に関連する縁語」であれば、「流れ」「瀬」「瀬」「澄む」などがあります。

入試では、これらの縁語を自分で見つけていかなければなりません。

 

ここでは、その見つけ方のポイントを紹介します。

①中心となる語を探す。

原則として、中心になる語は、その和歌の序詞・枕詞の中にあります。

②序詞がある場合には、序詞の部分と序詞以外(和歌の主題)の部分が縁語となる。

序詞中の語は、もともと一続きの景色描写の中の語群になります。

したがって、海の景色を描写しようとすれば、その中に海に関わる語が出てくるのは当たり前で、これは縁語にはなりません。

③原則、和歌に掛詞・序詞・枕詞がなければ縁語はないと見ていい。

比喩があるときがまれにありますが、その場合は比喩の語が中心語となります。

 

2-5.折句

ここからは、枕詞、掛詞、序詞、縁語という基本的な4つの技法以外の、応用的な修辞法を紹介します。

たとえば、その一つが、「折句(おりく)」 です。

これは、一つの和歌の中に、別の意味のある言葉を織り込む方法です。

和歌は、「5・7・5・7・7」の31文字でできていますが、それぞれの句頭の一音ずつをつなげて詠むと、また別の言葉ができるのですね。

まるで暗号のようですが、それが和歌のテーマを表す言葉だったり、前後の文脈に沿った別のメッセージだったりするのです。

これは現代詩でも使われる言葉遊びのようなものですが、古文の和歌でも意識して読めばよく見かけます。

一つ例を紹介しましょう。

伊勢物語の「東下り」では、「『かきつばた』を用いて歌を詠め」と言われて、次のような和歌を詠みます。

唐衣 着つつなれにし つましあれば

はるばるきぬる 旅をしぞ思ふ


(着なれた衣の褄のように慣れ親しんだ妻が都にいるので、

はるばる遠くに旅に来たことをしみじみ思う。)

これを各句に分けて、その句頭の文字を見てみましょう。

らころも

つつなれにし

ましあれば

るばるきぬる

びをしぞ思ふ

最初の文字だけに注目すると、「かきつばた」となるわけです。これが折句です。

2-6.本歌取り

本歌取りは、有名な古歌の一部分を取り入れて新たな趣向を加える技法のことです。

本歌取りの技法は、特に『新古今和歌集』(鎌倉時代以降)に多く見られます。

 

本歌に対する①同一・類似表現、または、②対比表現があるという二つの特徴があります。

 

本歌となる和歌は誰もが知っている名歌でなければ、意味がない為、

『万葉集』や『古今和歌集』など、平安初期から中期の和歌が多くなっています。

また、近い時代の和歌は本歌としてはならないという禁則もあり、遠い時代の和歌を本歌取りしています。

2-7.物名

そして似たもので、もう一つ、「物名(もののな/ぶつめい)」 という技法もあります。

物名とは、和歌や俳諧で、歌題である“物の名前”を隠題として詠み込んでいる和歌のことです。

当時、歌題を与えられて読むような正式の歌会では、和歌は文字で見せるのではなく、声に出して朗詠して披露するものでした。

ですから、聞き手は“隠された”歌題である「物の名前」を、音で聞くことによって判別したのです

そのことから、別名「隠題(かくしだい)」と呼ばれることもあります。

 

例えば、

「心から 花のしづくに そぼちつつ 憂(う)く干(ひ)ずとのみ 鳥の鳴くらむ」

という藤原敏行の和歌を、実際に声に出して詠んでみてください。

 

この和歌では「鳥」がテーマになっているのですが、ある鳥の名前が隠されているのに気づきましたか?

物名では和歌全体のテーマを掴んだ上で物の名前を「音」で探し、「清音」と「濁音」は柔軟に解釈して良いという原則があります。

 

それらを踏まえると、「憂く干ず」の部分は「うぐひす」と詠み換えることができ、この和歌の歌題は、「うぐいす」だと判別できるのです。

このように、はっきりと「物の名前」を詠まずに、聞き手がそれを判別するという遊戯の一種として物名は使われていました。

 

このような修辞法に関する問題が本当に入試に出るのか?という疑問がわく方もいると思います。

物名であれば、過去に出題例があった、早稲田大上智大近畿大などの難関大を受ける場合には、知っておく必要があるでしょう。

しかし、どの大学にも必須という内容ではありません。

 

この教材を使って勉強するなら、

「受験に向けてここまで勉強しておけば、入試でどんな和歌が出たとしても、どんな問題が出たとしてもビクともしない」

というぐらいの自信をつけるため、といった目的が適しています。

「これが出そう」とか「これは出ない」といったことを選別するのではなく、

「和歌の修辞法について自分は知らないものはない、何が出ても大丈夫、という状態で入試を迎えるぞ!」

と、それぐらいの余裕を持つために勉強するのです。

3.和歌の修辞法 まとめ

では、私自身がなぜここまで和歌の勉強をするようになったか、実際にあった経験をお話しましょう。

私が京大の過去問を解いていたとき、ある年の問題でこのタイプの問題に遭遇しました。

古文の最後の問題で和歌が出てきたのですが、設問に「この和歌を解説しなさい」と書かれていたんです。

ポイントは、「この和歌を現代語に訳しなさい」ではないこと。

「この和歌を解説しなさい」なんです。

解説しなさい、とは、どういうことだと思いますか?

当時、自分の書いた答案を解答と照らし合わせたとき、驚くほど中身が違っていました。

自分の答えが、 正解からほど遠い、全くの言葉足らずだったんです。

解説とは、和歌を和訳するのはもちろんですが、

「この和歌がどういう情景で詠まれたのか」「誰が詠んだのか」「使われている修辞法は何か」といった事柄を含めて解説しなさい、というのが出題の意図だったんです。

和歌と言うのは、現代語に訳すだけでも大変なのに、そういった修辞法や背景をいろいろと盛り込んで解説を書かないと答案が全部埋まりません。

当時は結局、どう答えたらいいかわかりませんでした。

私の場合、そういった経験を一度してしまったので、本番に向けて「絶対、和歌に関して完璧にしておこう」と火がついたんです。

そうして和歌についてこの本で徹底的に勉強することにしたんです。

勉強は大変でしたが、思い出深い一冊となりました。

 

以上のようなことから、『和歌の修辞法―荻野文子の特講マドンナ古文』は、

同様の出題の可能性がある大学に向けて勉強している人にはおススメです。

正直、この本が目指しているレベルは高いです。

基本的な部分も含まれていますが、上級編というか、かなり難しい事柄まで書かれています。

そういったハイレベルな内容まで網羅して「とにかく和歌を得意にしたい!」という人は、ぜひ挑戦してみてください。おススメです。

以上、『和歌の修辞法―荻野文子の特講マドンナ古文』の使い方、でした。


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