こんにちは。ミスターステップアップの村田です。今回は、『物理のエッセンス』の紹介をします。
この教材は、〝力学・波動編〟〝熱・電磁気・原子編〟の二冊に分かれていますが、
初学者向けに書かれ、序盤期にやるのに適しているテキストです。
ただ、それだけではありません。
まず、第一にとても解説が分かりやすく、なにより、解説と演習量のバランスがとれているのが良いです。
1.物理のエッセンスをやるレベル
このテキストは、大学受験物理の初学者向けです。
偏差値40代から55未満の方は、まずはこのテキストから初めてみることをオススメします。
もっと偏差値が高い人にとっても、一通り内容が網羅されているので、このテキストに目を通しておくと良いでしょう。
では、このテキストを使った勉強法です。
先ほどもお伝えしたように、このテキストは「力学・波動編」「熱・電磁気・原子編」の2冊に分かれています。
とても分かりやすい点は、物理の概念から問題の順で構成が作られているところです。
例えば「力学編」では「速度と加速度」から説明が始まっていて、そこから問題へと発展していき、その問題自体もとても簡単なレベルから出題されてます。
まずは概念からしっかりと理解した上で、問題を解いていけるような形式のテキストです。
概念の説明と問題演習の割合としては、問題演習の割合がやや多いので、本当に全く理解できていない人は教科書も用いることをオススメします。
教科書を読んでからエッセンスを解いてみると、理解が早まりより習得しやすくなるのではないかと思います。
2.物理のエッセンスでどの大学まで対応できる?
志望校はどこまでカバーできるかですが、共通テストはもちろん、関関同立やMARCHなどの難関私大、地方国公立まで対応できます。
難関私大や地方国公立であっても、この一冊を完成させて、過去問の研究と解きまくりで、だいぶ得点できるはずです。(時間に余裕があれば、別の参考書をもう一冊やりましょう)
そして、さらにそれ以上の、旧帝大や医学部を目指す場合は、これよりもレベルの高い問題集を数冊やることが必要です。
3.物理のエッセンスで「デキる人の感覚」を学ぶ
物理のテキストの中には、問題数が少なく、解説はやたらと冗長なもの、その反対に、圧倒的に解説が少なくて、やたらに問題数は多いものなど解説と問題演習のバランスが悪いものもある中で、この『物理のエッセンス』は、とてもバランスが良いテキストです。
また、ページ途中や巻末に〝物理の周辺知識〟がまとめられており、具体的には、〝単位〟〝単位系〟〝次元〟〝有効数字〟など、物理を勉強していくうえで必ず知っておくべき知識が網羅されています。
あまり、
- 「単位とは、そもそも、どういうものか?」
- 「どういうルールのもとで成り立っているのか?」
- 「方程式の右辺と左辺を合わせ、次元を合わせていくとは、どういうことか?」
などなど、物理の問題を解いていく上で、デキる人が大切にしている、意外にバカにできないポイントが網羅されているのです。
実は、問題演習量が多いだけでなく、“デキる人の感覚”を学ぶことができるのです。そういう意味で、はじめから、物理における、重要な考え方、基本的なルールをしっかり押さえた上で、問題演習をすすめて、解説もしっかり理解したいという人にとっては、このテキストはイチ押しです。
4.物理のエッセンスの具体的な進め方
4−1いつまでに終わらせるのか
このテキストをいつまで終わらせるかということになります。
もちろん人によってスタートした時期は違うとは思いますが、遅くとも受験を迎えた年の9月までに終わらせることが必要です。
10月から過去問演習に入っていけますので、そこから共通テストでも私大でも対策していくことができます。
『物理のエッセンス』で合格できるのは、共通テストだと8〜9割取れますし、私立大のMARCHや関関同立も過去問演習で補っていただけるレベルです。
ただ、旧帝大や医学部を目指す場合は、もうワンランク上の『体系物理』を解いた方が良いでしょう。
そのため、過去問演習や『体系物理』に移っていく流れを作るためにも、やはり遅くとも9月までには終わらせておきましょう。
10月から過去問演習をやっていけばいくほど成績も上がっていきます。
その演習で解けなかった問題がある際には、『物理のエッセンス』の考え方で解けなかっただろうか、と必ずフィードバックして確認していくことが大切です。
4−2物理のエッセンスの反復の仕方
物理のエッセンス完成までの目安の時間は、〝3~4ヵ月〟になります。
とくに、難関大学を目指す受験生は、この後に、多くの問題演習をこなし、多くの解法モデルを習得すべきなので、やはり受験の序盤の時期に終わらせることが理想です。
(もちろん、このテキストのみで網羅できる場合は、この1冊のみで構いません)
そして、問題数ですが、力学114題、波動70題、熱力学33題、電磁気95題、原子40題で、問題の総数は〝352題〟になります。
ですから、仮に、すべての問題を10回反復するとして、単純計算で3,520回、問題に目を通すことになります。
(実際は、すべての問題をやりこむ必要はありませんが)
そしてそれを、4ヶ月で完成させるとなると、1日〝約30題〟に目を通す計算になります。
1日に30題は多くてデキないと感じる受験生もいるでしょう。
しかし、それゆえ、ミスターステップアップでは、〝セルフレクチャー〟という勉強法をススメています。
セルフレクチャーとは、問題とその解法を、紙に書きだすことなく、ぶつぶつと声に出して勉強する方法です。
実際に、手書きで問題を解くのは、もちろん良いのですが、その代わり、時間がかるというデメリットがあります。
数学や理科などの科目は、実は、解法の方針の決定と立式さえ出来たら、あとは計算するだけという場合が多いです。
ですから、手書きで問題を解くのは、5回に1回ほどにとどめ、残りはセルフレクチャーで、解答の方針と立式を声に出して勉強するのが効率的です。
こうすれば、1日30題すすめるのも可能ですね。
そして、セルフレクチャーをはやく進めていくためには、問題をすすめていく中で、できる問題とできない問題を仕分けして、やる必要のない問題を削ぎ落していくことです。
そうすれば、やるべき問題が明確になり、ムダな時間が省かれ、時間短縮につながります。
4−3分からないところがあった場合はどうすれば良いのか
分からないところがあった場合は、まずは大学勉強法では問題を仕分けすることが大切だとお伝えしています。
「◎」「◯」「△」「×」という風に仕分けして、
◎…絶対できる、ノータイムでできる、瞬殺でできる
◯…できるけれどもそこまでは自信がない、スラスラはできない、時間を置いたらできなくなるかもしれない
△…できないけれども解説を読めば分かる
×…解説を読んでも分からない
という風に仕分けをすると、×の問題が分からないということがハッキリします。
解説を読んでも分からない、解けないとなった場合大事なのが、まずは「どこが分からないのかを分析すること」です。
なかなか勉強ができるようにならない人は、「どこが分からないのかも分からない」「全てが分からない」と話す特徴があり、分析ができていない場合が多くあります。
例えば「解説の1行目2行目までは分かる」「4行目からは分からない」といったように、分かったところまでは印をつけておくこと、
また、急に分からなくなったところはどこなのか、問題文の意味がわからないところはどこなのか、分からないところにはきちんと線を引いておき「?」と書いておくこと。
これが分からなかったところがあった時のポイントになります。
そこから教科書に戻って調べてみたり、物理の詳しく調べられる参考書で調べてみたりしても良いでしょう。
しばらく寝かせてみるのも良いです。
全ての問題や解説書にも言える話ですが、一読して全てが完璧に分かるというのはなかなかないもので、どこか一部分でも分からないことはあるものです。
その分からない問題などは少し時間を置いて寝かせておきます。
そうすることで、一度解いたということで問題に対する意識はずーっと蓄積されていくんです。
そしてしばらく時間を空けてまた考えてみることで、いつの間にか分かるようになっていたとか、他の知識と繋がることがあります。
ただし、あまりにも分からないところが多すぎる場合や、全く分からない場合は、根本的に物理が苦手なタイプなのだと思うので、教科書を何度も通読することがオススメです。
そうすると次第に理解できるようになっていくのではないかと思います。
「◎」「◯」「△」「×」の仕分けの内、「×」が半数を占めている場合は教科書をよく読めば良いですし、
「×」の割合が1/3未満である場合は、少し寝かせておき思考を連続させておくと良いですね。
そうすると、分かる問題が必ず増えてきます。
どうしても分からない場合は人に聞いた方が良いと思うので、分からないところやできなかった問題は学校の先生や塾の先生や家庭教師の先生にどんどん質問してみることです。
そういった人がいない場合は、理解している友だちに聞くなどして解決していきましょう。
5.物理のエッセンスが終わった後
『物理のエッセンス』が終わった後はどうしたら良いかをお伝えしていきます。
終わった時期によっても違うのですが、9月の末にちょうど終わった人で、共通テストやMARCHや関関同立や地方の国公立を志望している人は、共通テスト対策や入試問題の過去問をどんどん解いてみてください。
旧帝大や医学部を目指すというのであれば、『体系物理』を解くのが一番です。
『体系物理』を解くことによって、物理のモデルを覚えることができます。
「物理のモデル」と言われてもピンとこないかもしれませんね。
例えば、「力学」の「ばね」の問題で「ばね」のパターンが色々あったとします。
並列に繋がれているとか、直列であるとか、滑らかな斜面上のばねというように、ばねの問題であっても様々なパターンがあります。
このようなパターンのことを「モデル」と言います。
それぞれのモデルには決まり切った問題の出し方と解き方がセットです。
簡単に言ってしまうと、知ってさえいればあっさり解けるものが、知らないとどうしようもない場合があるということです。
こればかりは知らないとどうしようもないので、本気で物理の上級者を目指すのであれば、できる限り多くの物理のモデルを学ぶ必要性があります。
ということで網羅性を高めるためにオススメなのが、この『体系物理』というテキストです。
400題くらいありますから、時間が許す限り様々なモデルに触れながら網羅性を高めていってください。
10月以降からであればこの『体系物理』をやってみてください。
もっと早くに『物理のエッセンス』を終わらせられるのであれば、8月や9月から『体系物理』を進められると良いです。
ただ焦って『物理のエッセンス』が中途半端なまま『体系物理』へ進むのだけはやめましょう。
『物理のエッセンス』のテキストを繰り返し7回以上反復して、勝手に手が動く、スラスラ解けるという状態を作ってから『体系物理』へ移るのが非常に理想的です。
今回は、物理のエッセンスについて紹介しました。
受験生の間でも、とても人気があり、僕自身、多くの受験生が、このテキストに取り組む姿を見てきました。
ぜひ、これから物理のエッセンスに取り組む人は、このテキストをセルフレクチャーで何度も反復し、このテキストから吸収しつくして、デキる人の感覚を身につけて下さいね。
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