時代の変化と子育ての課題。10代の「自立」のために、いま親ができること。【前編】

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村田 明彦

村田 明彦

ミスターステップアップ塾長。 話を聞くだけで、成績アップの秘訣や、どう生きれば成功と幸福を同時に手に入れられるのかがわかる、と評判。『大逆転勉強法』『限界突破勉強法』による受験指導の後継者。全国の高校から、受験生と受験生を持つ親御さん向けの講演依頼が殺到しており、講演参加者は、のべ数千人以上にのぼる。

【前編】なぜ、いま「精神的な自立」が問われるのか?

こんにちは。『大学受験塾ミスターステップアップ』の村田です。

先日は、6月8日におこないました親御様向け勉強会。

今回の記事では、その勉強会でお話しした内容の一部を、

少し角度を変えてご紹介させていただきます。



受験は心理戦。精神的な自立をどう育むか

10代後半という多感な時期に、

大学受験という大きな壁に立ち向かうためには、

精神的な自立が不可欠です。

精神的な自立とは、「わたしは、自分の将来のために勉強するんだ」

という強い意志を持ち、自らの足で立ち上がっていくこと。

親御さんや周りの人の顔色をうかがってばかりの消極的な姿勢のままでは、

大学合格に必要な精神力はなかなか育まれていきません。




たとえば、子どもの成長過程における「反抗期」も、

自立への大切な一歩ですが、

近年、この反抗期を経験しない中学生が7割以上にのぼると言われています。

背景の一つとして、社会全体が過保護・過干渉(母性過多)になり、

お子さんがいつまでも家庭に甘えることができる、

という環境が生まれていることが考えられます。

もちろん、家庭が安心できる場所であることは素晴らしいことです。

しかし、甘えられる環境に安住してしまうと、

従順で「よい子」ではあっても、人生の困難を自ら乗り越えていく

強さが失われてしまうことがあります。

そういった意味で、大学受験という試練に挑戦させること自体が、

お子様が子どもから大人へと成長するための、

いわば「通過儀礼」のような役割を担っていると言えるのかもしれません。

社会の変化と子育ての課題


社会学者の宮台真司さんによれば、昭和から平成にかけて、

地域社会や家族の「空洞化」が進行したと言われています。

地域社会のつながりが希薄になり、家族が食卓を囲む機会も減りました。

その結果、子育ての負担が親御さんに集中し、

ご家庭だけでお子様に関する多くのことを抱え込まなければならない状況が

生まれています。

さらに、インターネット社会やスマートフォンの普及は、

わたしたちから直接的なコミュニケーションの機会を奪い、

人間関係のあり方も大きく変えました。

こうした社会の変化は、お子様たちの心にも影響を与えています。

たとえば、人間関係においてなかなか本音が言えず、

つい「いい子」を演じてしまう。

その結果、最も重要な進路選択においてさえ、

自分の本当の気持ちよりも、

周りの意見や雰囲気に流される形で道を選んでしまう、

というケースも少なくありません。

長い受験生活の中で、最終的に自分の進むべき道を

自分自身で見つけ出すこと。

これが何よりも大切です。

(後編へつづく)