こんにちは、やっしです。
先日、通信生からの質問をいただきました。
通信コース生に配信しているラジオでお答えしたものを、
こちらでも公開していきます。
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弓場:通信生からの質問です。
「ふと疑問に思ったのですが、高ければ高いほど、太陽に近づくのに
なぜ地球は上に上がれば上がるほど寒くなるのですか?」
今回はこの質問でお話していきたいと思います。
やっしー:それはですね、基本的に、太陽によって温まってるのは海だからですね。
とりあえず表面積の7割が海で、かついちばん日が当たる赤道あたりは海ばっかりですよね。
アフリカ大陸には大きな砂漠がありけど。
そこから、大気の流れと海流によって、北緯が40度とか50度とかあたりの
高緯度地域まで熱が運ばれます。
例えば、北海道には、雪祭りとかで有名な寒ーいところがありますよね。
その北海道よりも、ヨーロッパのほうが北極に近いんですよね。
たとえばロンドンもそうです。
緯度が高いのに、人が住めるのは、赤道近くのメキシコから海水が温かい熱を
運んできてくれるからです。
熱を運ぶっていう理論について詳しく話します。
空気が運ぶ「熱量」と、水が運ぶ「熱量」は、まったくボリュームが違うんです。
空気よりも海水の方がたくさんの熱量を運んできてくれるのです。
日本近海だと、黒潮が暖かい熱を運んで、それを太平洋高気圧が押し上げて、
「うわ! 夏あっついわ〜」ってなるんですね。
出典:気象庁ホームページ 海洋表層の循環の模式図
https://www.data.jma.go.jp/gmd/kaiyou/db/obs/knowledge/circulation.html
弓場:昼間は暑くても、夜になると涼しくなるのは、空気は熱を保ってないからですね。
やっしー:その通り。空気が温かくなる前に、地面が先に温かくなるんですね。
じりじりと熱せられた地面が、その周りの空気を温めるんです。
だからアメダスは、地上から1.5メートルくらいのところの気温を測ります。
一日で一番熱いのは、地面が一番照らされてる午後12時から2時までの2時間ぐらいですね。
地表からの高度が低いところから順番に見ていくと、
山が高くなるにつれて空気が薄くなりますからね。
温かい成分を運ぶ空気分子が減ると、寒くなる。
つまり、高ければ高いほど、寒くなる。
富士山なら一般人でも登れますが、エベレストだとプロでも命がけですね。
国際線の旅客機とかの1万メートルとかだと-30℃まで冷えるかな。
成層圏の直下ぐらいで、対流圏の一番上くらいは冷えるんで、飛行機の表面は凍り付く。
ところが、それを上って成層圏まで上っていくと、逆に温度が熱くなる。
成層圏の上の熱圏と呼ばれるものがあって、温度が高くなるんですね。
弓場:熱圏のすぐ下は-30℃なのに熱圏は熱い…
やっしー:いやもっと寒いかも、-100℃とか。
たとえば、気球で上れる距離くらいだと、マイナス何十度くらいまで冷えますが、
途中で温度がぐんと上がるとこがあります。
ちなみに、そこは大気圏突入で燃える場所とは関係ない。
また別の理由で燃えるんで。熱圏というのは。
生命が地上進出するために、必要不可欠だった反応が起こってるところ!
弓場ーオゾン層?
やっしー:そうです。オゾン層っていうのは紫外線をブロックするでしょ。
それはそのオゾン層で酸素分子やら、オゾン分子やらそういうのが複雑に反応して
紫外線と反応する。
紫外線がなぜ危ないかっていうと、紫外線が地上に降り注いで、
僕らの生物の細胞に当たるとDNAを破壊するエネルギーを持ってるからなのね。
紫外線のエネルギーがどっかで消費されれば害はなーい!
そのエネルギーをオゾン層で消費させると、
オゾン層がエネルギーを消費した代替として熱くなる。
弓場:その反応が熱圏っていう場所で起こってるから、そこだけ熱くなるってことか。
じゃあ、そこを通り過ぎたら、もうその反応が起こらないから寒いのですね。
やっしー:それより外の宇宙は冷え冷えで。
宇宙の平均温度は3ケルビン(−270℃)のはずですから。
ただ日向(ひなた)は暑い。日陰はすごく寒くなるよ。
日陰が寒すぎるから、月のクレーターの年がら年中日が当たりませんっていうとこは
冷え切ってて、氷が水蒸気になる昇華すら起こってないよ。
弓場:そんなに寒いなら、しっかり体の冷えを取らないといけないですね(笑)
やっしー:そのレベルじゃないね(笑)3ケルビンとかなので、人間は歯が立ちませんから(笑)
そこに残っている氷をなんとか太陽熱で溶かして、月面基地の水に使おうかなっていう
プランがあるらしいですよ。永久影に残った月面の氷を使うらしいっすよ。
弓場:凍りついて動かないということは…死の海ですね。
やっしー:まあ、それを掘り出して太陽当てて溶かして使おうっていう計画ですね。
弓場:というかそもそも、気温が3ケルビンでも体温は影響って受けないんじゃないですか?
人体が宇宙空間に放り出されたとしても、気圧とかを度外視してそもそも物質がないのですから。
やっしー:いや、徐々に徐々に赤外線を放出して冷えていく。
寒いと思わへんと思うねん。熱奪われないから。
弓場:直接熱を奪ってくる物質がないから感じることはないということですね。
でもやっぱそのまま死んじゃいますよね。
やっしー:それはね、僕らが黒体放射によって、
赤外線でエネルギーを放出していってしまいます。
エネルギーを失ったら冷え切ってカッチカチに凍って、
何かにぶつかったらばっらばらに壊れる。
弓場:そりゃ、いずれにしても、死んじゃいますよね。
というかそもそも、体温奪われる前に気圧の変化で死んじゃいますよね。
やっしー:血管破裂するね。その破裂したのはすぐ凍るかな。
弓場:気圧が低すぎて、体液が沸騰しちゃいますかね。
やっしー:そうだね、圧下がりすぎてね。
弓場:なるほど。結局のところ地球の表面に近ければ近いほど温かいのは、
熱を保つのが水や大地だからなのですね。
やっしー:空気は、なかなか熱を保てないですからね。
弓場:気温って夏は30℃とか35℃とかですし、冬は、1℃とかになる。
地球の熱の動きって、実はそんな繊細なバランスを保った結果やったんやなって、
再発見できました。
奇跡的な条件が絶妙に組み合わさって、生命が育まれる環境になったんやな~って!
やっしー:地球温暖化っていう現象が進むとしたら、海流とかが変わって、
人が住めてる高緯度地域が住めなくなるっていうのも考えられていますね。
地球温暖化してるそばで、実はロンドンが寒冷化して人が住めなくなりましたっていう、
ニュースは起こりえるよね。
すでに、海流が変わっちゃうと駄目になっちゃうって予想があります。
ちなみに、日本の太平洋側の黒潮と親潮のバランスもなんかちょっと揺れ動いてて、
本来黒潮と親潮は金華山沖っていう宮城県の沖合でぶつかって「潮目」を作って
豊かな漁業を形作っていますが、その潮目が茨城県沖に下がってるって。
昨年は、九十九里浜あたりが「さっぶ!」ってびっくりしてて。
その影響で、九十九里浜が波で打ち上げられたハマグリだらけになってしまいました。
「とらないで~、三年かけて漁業者が育てたからとらないで~。
漁業者がかわいそうだからとらないで~」って大騒ぎ。
40キロにわたってハマグリが打ち上げられてすごいことになっていました。
(写真:NHK)
弓場:海流は、どうして変わるんですか?
やっしー:それが難しいんよ。黒潮の大蛇行とかね。
なんとかね予想しようと、シミュレーションするための
スーパーコンピューター「富岳」が計算の努力とかあったりしてね。
それで、気温も変化させるし雨の降りかたも変えるしね。
あきらかに私たちの生活に影響与えてます。。
このように、計算機科学っていうシミュレーション科学も相当計算能力高まってきてますね。
弓場:なるほど。地球上における様々な温度変化の問題がつながってきました。
では、今回はこのあたりで終わります。ありがとうございました。