【英単語暗記】10の暗記法と6つの記憶テクニックで効率良く覚える

英単語カード
この記事を書いた人
柏村 真至

柏村 真至

京都大学文学部卒。浪人が決まった春、受験の達人南極老人に出会い、逆転合格を果たす。『E判定からの大逆転勉強法』などを執筆し、一躍カリスマ講師に。南極老人いわく「彼ほど完璧に大逆転勉強法を実践した受験生はいない。さらに〝戦闘値〟がアップしたスーパー大逆転勉強法と出会える受験生は幸運だ」と。

こんにちは、ミスターステップアップの柏村真至です。

今日は、英単語をスイスイ覚えたい方へ、覚え方のテクニックについてお伝えします。

大学受験に必要な英単語の量は膨大ですが、覚える順番や覚える方向を把握していると、よりスムーズに制覇できます。

難関大学を目指すなら、効率よく語彙を増やす必要があります。

そこで、短時間でスイスイ覚えるための『英単語の覚え方と暗記テクニック』をご紹介しましょう

英単語の覚え方を動画で解説!!

1.そもそもなぜ英単語を勉強する必要があるのか

大逆転勉強法で、序盤に勉強するべきこととして、単語・熟語・音読を紹介しています。

やはり、単語・熟語を知らなければ、英文を読むことができないためです。

大学受験は、英語で決まります。

英語をものすごく得意にすることができれば、難関大学を狙っていくことも可能になるのです。

これまでの受験生の中には、世界史が0点で東大文Ⅰに合格した子、物理が0点で東大理Ⅰに合格した子もいます。

そんな彼らに共通していたのが、「英語がものすごく得意だった。」ということでした。

その志望校の合否を決めるカギになる、英語を得意にしていく上で、一番の土台になるのが「英単語」なのです。

ですから、仮に今高校1年生であったとしても、まずは英単語を一日5個、10個と、コツコツ覚えるところから始めるようにしてください。

2.英語学習に必要な単語量は?

大学受験に必要な英単語を覚えていくときに、大切なポイントがあります。

それは、どんな単語帳でも良いので、最終的には「単語帳一冊を完ぺきに覚え切る」ということです。

共通テストレベルの場合、『英単語ターゲット1900』であれば、1900あるうちの最初の1500、『システム英単語』であれば、第5章まであるうちの、第3章までを完璧に覚えるだけで構いません。

まずは、共通テストレベルの問題が読めるようになるところまでの英単語の語数を覚えてしまうということがポイントです。

3.英単語の全体を見てどんどん覚えよう

では、覚え方の前に、まず英単語の全体像についてお話します。

そこには「縦と横の概念」があります。

まず「縦」の概念から説明しましょう。

単語にも、入門レベルから上級レベルの難しい単語まで、レベルがあります。それを「縦の概念」と思ってください。

英単語には、カンタンな「レベル1」から、難しい「レベル12」まであります。各レベルに単語1000個あると思ってください。

たとえば、レベル1:中学レベルです。995個は余裕で知っているべきです。

レベル2:「英英辞典」を読んで理解できるレベルです。このレベル2について説明します。

大学生になると、英語は「英英辞典」を使うように言われることがあります。

国語辞典は、日本語を易しい日本語で説明していますが、それと同じように、英単語の意味を易しい英語で説明しているのが「英英辞典」です。

中学生未満でもわかるレベルの言葉で説明しています。

受験生でも、偏差値70ぐらいになると「英英辞典」を使います。

なぜなら、難関大学になると、短絡的な日本語訳があてはまるような英文が出てこなくなるからです。

有名なのはロングマンの英英辞典ですが、これを使いこなせるようになるには、最低でも2000語の英単語を知ってないといけない。

2000
語の英語を知っていたら、英英辞典の説明が理解できます。

つまり、レベル2とは「英英辞典」がクリアできるレベルなのです。

レベル4,5までくると、大学受験のレベルです。

難関私立や国公立レベルとなると、レベル6の6000個ぐらいは覚えておきたいです。

「大学受験の英語を極めるぞ!」「英語で貯金をつくるぞ!」と言う人は、7000~8000個ぐらいは覚えておけば、山ひとつ上にいけます。頂上も目指せるでしょう。

ステップアップの「限界突破コース」では、それぐらいを目指しています。レベル10まで行くと予備校講師になれるレベルです。

ここまでくると、英語講師として活躍できます。大学生になって英単語を8000個ぐらいをキープできたら、そのまま講師になれますよ。ちなみに、英検1級ぐらいがレベル8(8000個)と言われています。

ここまではレベル別でしたが、その他、医学部を受ける人は、病気の名前、臓器の名前を、覚える必要があるでしょう。

もちろん医学部だけでなく、大学、学部によってよく出題されるテーマがあるところもありますので、テーマに沿った英単語を覚えていくことも計画してください。

こういったことが、英単語の「縦の概念」です。

次に、「横の概念」について説明しましょう。

突然ですが、富士山はなぜあんなに高いと思いますか?もし、これから高い山をつくろうとしたら、何が必要だと思いますか?

山と言えば、たいてい高さばかりに目がいくのですが、山を高くしようとしたら、実際、裾野(すその)が広くないといけないんです。

裾野の広さが、高い山の条件とも言えますね。

砂山をつくるとしても、裾が狭いと高く積み上げられません。

裾野が狭いと、ある部分で支え切れなくなるのです。学力も同じです。

少しずつ裾を広げながら、高い学力を積み上げていってほしいんです。

たとえば、大学生になると「知性や教養を磨きなさい」って言われます。大学の1回生、2回生のカリキュラムには一般教養科目が組み込まれています。文系理系問わず、たいてい必修科目が用意されています。 それは、一般教養科目を履修して、知性教養を幅広く学んでいってほしいからですね。

どんな学部でもあります。もちろん、医学部でもありますよ。

将来、医者になるからって、「文系教科にまったく興味がない」とか、「知性、教養が著しく欠如」していていいわけがないですよね。

一般的な教養が欠けていて、それでも真の医療人なのか?もし自分が病気になった時そんな医者にかかりたいか?という視点を忘れないでください。

せめて大学の1回生、2回生の間くらい一般教養を学びましょう。

大学生の前半は、知性の裾野を広げてください。旅行や経験を通して、人としての裾野を広げていってください。

このことは、英単語でも同じことが言えます。

どんどん新しい単語、難しい単語を積み上げ、とにかくハイレベルな方向に進む、というやり方は縦の方向の覚え方です。

一方、横の方向の覚え方は、派生語を覚えて語彙力を広げていく覚え方です。

一つの単語と、その派生語も併せて覚えていくと、語彙数が何倍にも広がります。

たとえば、able という単語があります。「能力がある」という形容詞ですね。

それが、反対語になると unable、名詞形になると ability、動詞になると enable、といったように、形を変えて派生していきます。

これらをセットで覚えることも必要です。こういった覚え方が、英単語の「横の概念」です。

世間にはいくつもの単語帳が出回っていますが、方針はそれぞれ違います。

たとえば、『ターゲット1900』という単語帳があります。中学レベルが1000語だから、1900語っていったら、レベル2じゃないか。レベル3にも到達できないのか?と思うかもしれませんが、そうではありません。

「ターゲット1900」をきちんと覚えたら、レベル5か6まで到達できるんです。

なぜかというと、この本には派生語も載っているからです。

派生語もカウントすると、ターゲットは、3000語から4000語は網羅しています。

じゃあ、なんで『ターゲット4000』にしないのか、と言うと、『ターゲット4000』ってタイトルだったら誰も買わないでしょ? そんなに覚えられない!って。

だから、受験生が覚えられそうな気がする数をタイトルにしているんです。

その視点から言うと、英語が縦方向に全然進まない人って、派生語まで完璧に覚えようとしているところがあります。

もちろん、横方向に広げていくこともいずれは必要ですが、始めのうちから派生語にこだわって、前に進もうとしないでいると、いつまでたっても最初の800語が終わらないんです。

それだと、縦の方向に単語を積み上げていけません。縦も横も、両方に進みながら、上へ上へと単語力を高めていってほしいんですね。

もし、あまり進んでいないな、と思ったら、とりあえず上方向に行けるところまで上がっていくことがおススメです。

とにかくレベル5か6ぐらいまでは進ませてください。

そこまで進むと、自分でも単語が抜け落ちている気がする、と思うようになります。そう感じた時に、語源を使って派生語を覚える、長文に出てきた単語や過去問に出てきた単語を集めて一気に覚える、と横に広げていくのです。

まずは縦方向で、国公立二次、私立ぐらいまで先に到達してください。

そこまで進めてから、横に広げていきましょう。

英単語を、「縦」に積み上げるのも、「横」に広げるのもどっちも必要ですが覚える順番としては、「縦が先」と思って進めていってください

4.英単語をスイスイ覚える!10の記憶法

それでは、英単語の具体的な覚え方をお伝えしていきましょう。

記憶法1:何度も見ながら自然と覚える「索引チェック法」

単語帳を開くと、たいてい最初か最後に索引が載っています。その索引ページを使って、知っているか知らないかをチェックしていく方法です。

順に見ていって、単語の意味を知っていたら色ペンで線を引いていってください。

受験生の教材の使い方でよくある失敗と言えば、とにかく知らない単語にどんどんマーカーを引いていくことです。

たとえば、英単語の場合、初見の段階からどんどんマーカーを引いていくので、単語帳がカラフルになって、見にくくなってしまいます。

最初からマーカーを引くと、覚えた後もマーカー引きっぱなしなので、いつ見ても「あれ、覚えてなかったっけ?」と目が注目してしまいます。

そうすると、その分のエネルギーがモッタイナイですね。ですので、マーカーを引くのは、何回か反復した後にしてください。

何回かトライしても覚えられないものにマーカーを引くようにしましょう。もしくは、後で消すことのできるフリクションを使ってください。とにかく、覚えられた時点で、「覚えた」と分かるようにしていくのです。

つまり、マーカーの使い方は、

①本当に覚えられていない単語をマーカーで目立たせる。

②知っている単語にどんどんマーカーで線をひき、覚えていない単語には線を引かない、という目立たせ方にする。

この2つになりますね。付箋に関しても同じです。付箋を貼りまくっている受験生がいるのですが、たくさん貼れば貼るほど、どれが重要か曖昧になり、重要度が下がってしまいます。

ですので、付箋を貼るという方法は「覚えられなかった残り5%」の段階で使うべきです。

いっぱい貼ってあると結局、どこに注目していいのかわからなくなります。

全部大事、というのは、全部大事にしていない、ということと同じメッセージになります。

むしろ、「ここ!」とエネルギーをかけたいところにマーカーや付箋を使ってください。

そのうちに、だんだん知らない単語が残っていきます。そうなると、「意味を調べなくていいんですか?」って聞かれることもあります。

もちろん、調べてもいいのですが、それ以上に、「その単語を見た」という経験を増やしていくことが大事なんです。

すると今度、長文とかで同じ単語が出てきたとき、「あ、これ見たことある。」となりますね。

下線部が引かれていたから調べてみたら、「あ、この単語、前にも調べた。」となります。

単語を覚えるのに大事なのは、「何回その単語と遭遇するか」ということです。

人間関係でも同じことがあると思います。名前は知らないけど、顔は知っている人。一週間で何度も顔を見る。そうしてある時、名前を聞いてみると、「そういう名前だったのか」と印象に残ります。

そうなると、その人の名前を忘れませんよね? そういうことを英単語でも起こしていくんです。

つまり、先に心理距離を近づけるんですよ。

距離が近づいてから、名前を聞くから、覚えやすいんです。

英単語わからない、ってことも、ひとまずはOKです。すぐに覚えられないのがダメなのではありませんよ。

何度も接触しておくことが大切です。

何度も接触していると、「いざ、本気で覚えるぞ!」ってなったときに覚える勢いが違うわけです。

索引チェック法は、このように知っている単語に線を引いていき、塗りつぶしていきながら、覚える方法です。

最終的に全部を塗りつぶせたらOKそういう意味でもおススメです。

記憶法2:一気に単語を増やせる「語源で暗記する」

英単語は、語源単位で小さく分割することができます。

たとえば、expression (表現)という単語があります。これを語源で区切る場合、ex/ press/ ion と2か所で区切ることができます。そして、その区切られた一つ一つに意味があるのです。

ex= 外へ press = 押す ion = 名詞化

こんな意味があるのですが、この3つの意味を合わせると、「外へ押し出すこと」という意味になります。これは、何でもかんでも押し出すのではなく、「心に思っていることを口から外へ出すこと」です。

そこから、意味が「表現」になるのです。

このように、一つの単語を「頭・お腹・しっぽ」の3
か所に分けることで、だいたいの意味を類推できるようになるんですね。

類推する場合、単語だけでも類推できますし、文の前後関係からも類推できます。

単語を覚えてないから分からないって、すぐに諦めてはいけないんです。

文脈で類推しなさいって言われても、文脈がわからないときは、語源で類推できます。

語源を知っていれば、類推のヒントになるんです。類推する手段は、たくさんあるに越したことはありません。

その手段の一つとして、この語源から類推する方法も知っておいてください。単語を成り立ちから知っていくと覚えやすいですし、忘れにくくなります。

そのような単語の例をいくつか紹介しましょう。

たとえば、foreは「前」という意味で、foretell =「予言する」 forehead =「おでこ」

preは、「前」「先」という意味で、precede =「先に起こる」「先行する」

pro は、「前」 という意味で、progress =「進歩」「前進する」

after は、「後ろ」という意味で、aftertaste =「後味」といったように、

語源を知っていると、単語の意味を類推しやすくなります。

これほど単純にいかない単語もたくさんありますが、このように、意味の組み合わせで一つの単語ができている、と知っているだけで役立つことも多いでしょう。

また、一つの単語から、派生する単語も順に覚えていく、という方法もあります。

たとえば、「able」(できる、能力のある)という形容詞があります。この派生語を見ていきましょう。

1:able     できる (形容詞)

2:ability   能力  (名詞)

3:inability   無能  (否定の名詞)

4:unable   できない(否定の形容詞)

5:enable   ~することを可能にする(動詞)

6:disable  ~を無力にする  (否定の動詞)

7:disabled  身体に障害がある (過去分詞形容詞用法 or 形容詞)

このように、able から、6つの派生語が覚えられます。一気に単語数を増やすには、この方法はとてもおススメです。

記憶法3:右脳を活かして「イメージで暗記する」

では次に、脳の働きの視点から単語の覚え方をお伝えしましょう。

言葉や言語というのは、「左脳」の働きです。論理的な思考も「左脳」でします。

一方、「右脳」は、イメージを担っています。全体のイメージをつかむ働きです。

たとえばサッカーでいうと、男女のプレーヤーがいて、どちらも同じぐらいの筋力があるとしたら、男のプレーヤーの方が有利だと言われています。

なぜなら「空間把握能力」を比べたとき、男性のほうが有利にできているからです。

歴史をさかのぼれば、男は役割的にマンモスを倒すとか、敵と戦でやりあうとか、敵との距離を的確に把握しなければいけませんでした。

こういう「空間把握能力」を司っている部位は「右脳」なのです。

言語を扱うときは「左脳」を働かせるものですが、どうせ単語を覚えるのであれば、「左脳」だけでなく「右脳」も使って覚えたほうが、単純に脳を2倍使うわけですから、覚えやさも2倍になるわけです。

「右脳」も使えば、効率も2倍になるということですね。

文字だけ追って「左脳」だけで覚えていっても、効率が悪く時間もかかります。

では、具体的にどうすればいいか、説明しましょう。

たとえば、「absorb」という単語があります。

これは「吸収する」という意味の動詞ですが、これがなかなか覚えられないとします。そんな時にイメージするんですね。

たとえば、「ひまわりが太陽光を浴びながら、周囲からCO2を吸収し、O2を放出している」という絵をイメージしてみてください。

そこから、「absorb」とは、植物が光合成をしているイメージだと覚えることができます。

覚えられない時にこういったシーンを自分で想像していくんです。

たとえば、「chase」という「追いかける」という意味の単語があります。

ハリウッド映画とかで、カーチェイスのシーンを見たことある人もいると思います。警察が犯罪者の車を追いかけている激しいカーチェイスシーンが、この「chase」です。

ただ言葉だけじゃなくて、実際に車が車を追いかけているシーンをありありと思い浮かべながら、イメージとセットで覚えることがポイントです。

できるだけピッタリのイメージか、逆に、へんてこりんなイメージを重ねると、脳にインパクトがあって覚えやすいです。

記憶法4:状況をイメージしながら「フレーズで暗記する」

単語1つだけで意味を覚えるより、フレーズにする方が、英文は長くなるけどむしろ覚えやすいこともあります。

より、単語を使う状況がイメージしやすいからです。

そんな参考書の代表格が、『システム英単語』です。

たとえば、follow という単語を覚えるために、follow her advice  (彼女の助言に従う)というフレーズがあります。

follow だけで覚えるよりは、follow her advice で覚えたほうが覚えやすいです。

「follow = 従う」だけだと、プラスの意味かマイナスの意味かわかりません。

単語によって意味合いが異なることもあるので、使い方まで含まれているフレーズで覚えたほうが、使う場面での間違いが少なくなります。

ただ、『システム英単語』を使っている人の中には、目的語の「her advice」が別の単語になったとたん、わからなくなる、と言う人もいます。

英語が苦手な人はこういった応用が苦手だったりしますので、単語一つずつ覚えた方がいいと思ったら、一つずつ覚えるようにしてください。

記憶法5:偏差値60からは「英語長文で暗記する」

ステップアップでは、塾生たちに「受験勉強で遭遇する英単語は、一つの出会いだ」とお伝えしています。

英単語とも「一期一会」です。

今日、初めて見た単語が、次は入試に出ると思って、それぐらいの気持ちでしっかり見て、しっかり覚えてほしいと、常に言っているのです。

過去の入試問題を解いていたら、ときどき変な単語が出てくることもありますが、変な単語であっても、そこで出会ったわけです。

「出会ったからには覚えてやろう!」という意気込みで見てほしい。

だいたい一般的な受験生に解いてほしい長文問題の最低基準は100題です。

「英語長文レベル別問題集」を1~5まで解いたら、合計60題解いたことになります。

これにプラスして、過去問40題を解く必要があります。

共通テスト、国公立二次、私立と、それぞれの過去問を解いていけば、余裕でこれぐらいの量になります。

ただし、早稲田とか慶應を目指すのであれば、最低基準は200題になります。

同様に、東大、京大、医学部になると、それ以上多いに越したことはありません。

そのつもりで受験勉強に向かっていってほしいです。

長文を200題解きながら、長文に出てきた単語を全部覚えていくと、すさまじい数になりますよ。

相当な単語数になります。

それを徹底して覚えていくだけでも、相当な語彙力をキープできるでしょう。

これと同様のコンセプトで作られている参考書があります。『速読英単語』と、短文が掲載されている『DUO』という問題集です。

これらはどういう人におススメかと言うと、ある程度の英語力がついた状態の人です。これを上手に使いこなすなら、偏差値60ぐらいは必要です。

そもそも長文を読めない理由は、一定量の単語を覚えてないからですよね。

単語を覚えていない人に、「長文を読みながら単語を覚えましょう」って言うと、矛盾しています。

『DUO』は短文集ではありますが、ある程度の単語力は必要です。だから、どちらをやるにしても最低限の単語力と英語力が必要なのです。

受験生は、英語長文を1年間で100~200題も解くのですから、わざわざ追加でこの2冊を買わなくても、「レベル別問題集」や「過去問」の長文の中で出会った単語を、片っ端から全部覚えていけばいいのです。

さらに1冊増やす必要はないとは思います。

大事なのは、単語帳を増やすことではなく、単語を覚えることと、長文を100~200題解くことです。

一つの長文との出会い、一つの単語との出会いを大事にし、そこからできる限り吸収していってください。

記憶法6:覚えたらスグ!「日常会話で使って覚える」

英単語を覚えたい! 語彙を増やしたい!と思って単語を覚えようとする人は多いと思います。

ですが、目的を「覚える」にしないことも覚えるコツです。

「単語を覚える」という行為は“インプット”です。

インプットの効率を上げたいとき、インプットする単語数を増やすより、アウトプットを目的にする方が、インプットが進むのです。

英単語は、覚えて終わりではなく、英作文で使う可能性もあります。下線部を訳しなさい、という問題で、日本語訳に使うかもしれません。

このようなアウトプットがゴールと思っている方が、実はインプットが進むんです。

単語帳をボーッと見ていてもなかなか覚えられない人は、覚えた後の“アウトプット”をイメージしていないからです。

とは言っても、覚えた単語がすぐに設問で出てくるとは限りません。

では、覚えたての単語をどうやってアウトプットしたらいいと思いますか?

子供の頃、買ってもらったばかりのおもちゃがあったときのことを考えてみて下さい。家に帰ったらすぐに開けたい、今すぐ遊びたい!という気持ちになりますよね。それと同じ気持ちで単語を使ってみてほしいんです。

もし今日、新しい単語を5個知ったなら、今日この5個を覚えきりたい、今日いろいろと使ってみたいって、子どものように思うことです。そして、日常の中で使ってみてください。

たとえば、foretell という単語を覚えたら、「よし、明日の天気をforetell してみよう!」とか、おいしいご飯を食べたら、「このご飯、aftertaste も旨い!」とか、わざと覚えた単語を使ってみたり、つぶやいてみたりしてください。

このような英語と日本語とミックスした使い方であったとしても、アウトプットするとインプットが進みます。

インプットしたら、すぐアウトプットする、という循環をつくっていくことが大事です。

その一番の典型としては、かつて流行ったルー大柴さんの“ルー語”です。

“ルー語”とは何かというと、自分がしゃべる言葉のなかで英語にできるものは英語にする、と言うしゃべり方です。たとえば、このような感じになります。

【ルー語】

エクスペリエンスしながらグローイングアップしていくのが、僕のフィロソフィーだから。

※意味:経験しながら成長していくのが、僕の哲学だから。

たぶん、人からこんなふうに話しかけられたら「うざい」と思いますが(笑)、こうやって使うだけで単語を覚えられるなら儲けものです。

英語長文を読むときにも、ところどころルー語にして読み進めるのも手です。それだけで英語を速く読めるようになる人もいます。

英語は、考え方を柔軟にして、インプット&アウトプットの機会を増やしていけばいく程、どんどん力がついていきます。

頭を柔らかくして、いろんな方法を試していってください。

記憶法7:回数を重ねるほどスピードアップ!

「小テストで暗記する」

高校の授業で、単語の小テストをした経験のある人もいると思います。

単語帳の前から順番に10ページずつ、とか、教科書を1章ずつとか、進めていったりしませんでしたか。少しずつ進んでいって、ようやく最後まで到達したころには、最初の頃の単語を全部忘れてしまった…、という経験はないでしょうか。

「せっかく覚えたのに結局ゼロか…」とがっかりしたことのある人もいると思います。

ですが、安心してください。

厳密にいうと、それで全くのゼロになったわけではありません。脳の仕組みから、そう断言できます。

脳は、筋肉に例えられます。

たとえば、スポーツ選手がケガをして1か月運動しなかったら、当然筋肉は衰えますよね。

ですが、その後トレーニングしたら、筋肉は元のところまではカンタンに戻ります。さらに、その後、次のレベルにいくには時間がかかるのです。

人の筋肉は、いったん衰えたとしても、もとのレベルに戻すのは、1回目に鍛えたときほどの時間や労力はかからないと言われています。

それと同じことが、脳と英単語の関係でも言えるのです。

仮に、かつて小テストで覚えた単語を、時間がたってすっかり忘れてしまったとします。ですが、2回目にもう一度覚えるときは、1回目ほどの時間はかかりません。1回目に30分で覚えたものを忘れたとしても、2回目は20分ほどで覚えられるんです。3回目は15分です。

忘れたようでも、本当は脳の奥底に蓄積されているんです。

「すっかり忘れてしまったからゼロから覚えなきゃ~!」と落ち込む人は多いですが、まったくのゼロになった訳ではありません。

一度は覚えた、っていう経験は無駄じゃないんです。

2回目、3回目と回を重ねていくほど暗記はスピーディに進みます。

ぜひ、このことも頭の隅に入れておいてください。

記憶法8:“面倒”という利点を活かして「紙の辞書で暗記する」

あなたは「電子辞書」と「紙の辞書」、どちらを使っていますか?

受験生なら、どっちも持っておくといいですね。

持ち運びのことを考えれば、「電子辞書」の方が軽くて便利ですけど、より頭に入ってくるのは「紙の辞書」です。

「紙の辞書」はいちいちページをめくるなど調べるのが面倒ですが、実は、そこが良い所なんです。

ページの感覚や、一つの単語を調べながら他のいろんな単語が目に入ります。

調べた単語に線を引くこともできます。

過去に、一度調べて、線を引いていた単語を、また調べてしまったとき、自分がすでに線を引いているのを見て、「また同じ単語を調べてしまったー」、「全然、覚えられてないー」と自分を奮いたたせることができます。

そこから、「よし、もっと覚えよう!」ってやる気が出るのは「紙の辞書」だからです。

「電子辞書」は、コンパクトで持ち運びやすくて便利です。

それが全てメリットかというと、受験生にとっては、そうでもないということです。

「紙の辞書」は重たくて、持ち運び不便で、調べるのが面倒ですが、調べる気のなかった他の単語の情報まで出てきます。

そういったことが、実は「紙の辞書」のメリットなのです。

下線部の訳し方、英文法や単語の意味など、調べたいことがある時は、できるだけ「紙の辞書」で調べるようにしてください。

その際、

①周りの単語に興味をもつ。

②知らない単語に線を引く。

この2点を意識するだけでも、かなりの効果があります。「紙の辞書」を存分に活用していってほしいと思います。

記憶法9:「ゴロ合わせで暗記する」

「ゴロ合わせ」は好き嫌いがあると思いますが、記憶に残りやすい覚え方です。

「ゴロ合わせ」で覚える、というコンセプトで有名な英単語の本は今のところありませんが、古文単語を「ゴロ合わせ」で覚える『古文単語ゴロゴ』という本があります。

「ゴロ合わせ」の是非については諸説ありますが、私は基本的に、使わないで覚えられるなら、できるだけ使わない方がいいと思っています

たとえば、古文単語に「あいなし」という古語があります。現代語の意味は、「つまらない」です。

語呂合わせで「あいなし(愛なし)では、つまらない」と言って覚えるんですね。

『ゴロゴ』を使っている友人が言っていたのですが、古文の中に「あいなし」が出てくるたびに、いちいち「あいなしでは、つまらない」って言いながら読んでいるんです。

こんなことを全部の単語でやっていたら、ムダに時間がかかります。

覚えにくい単語は、そうやって覚えたらいいと思うのですが、すでに知っていて、パっと頭に出てくる言葉までいちいちゴロ合わせをして読むとなると面倒です。

しかも、入試本番もそうやって読むのか?

時間が倍かかるぞ!というところまで考えると、あまりおススメではないですね。

ただ、本当に何度覚えようとしても覚えにくい単語があれば、語呂合わせで覚えたらいいと思います。

最後の手段の一つとしては有効だと思います。

たとえば、こんなふうに語呂合わせしてみてください。

oracle=「おら来る」という「神のお告げ」 意味は「神のお告げ」です。

psychology =「サイコロじー」っと見る「心理」 意味は「心理」です。

語呂の風景をイメージしてください。そのほうが覚えやすくなります。

こういった「語呂合わせ」は、自分の思いつきで作った方が愛着がわきますし、くだらない内容の方が覚えやすいので、自分で楽しみながら作ってみるのがいいと思います。

記憶法10:遊びから「興味の対象に沿って暗記する」

高校時代、遊んでばかりいて英語の勉強なんて全くしてこなかった!という人でも、意外なところで単語力がついていることはあります。

たとえば男なら、スポーツ、テレビゲーム、カードゲームなどをやっていた人は多いと思います。

そんな場面でも、自然と英語を使っているのです。

たとえば、ゲームだったらモンスターの名前や魔法の名前が英語になっていることがありますので、一度意味を調べてみると面白いです。

スポーツでも、名称やルールに英語がたくさん使われています。たとえば、ドッジボールというスポーツがあります。

ドッジボールというのは、ボールを投げるスポーツというイメージですが、実はドッジ(dodge)とは、「避ける」という意味なんです

ボールを避けるゲーム、ということですね。

確かに、ボールを避け続けていたら、いつまでもボールにあたりません。どんなに強くても、ぶつけられたらアウトです。「避ける」「よける」が、ドッジボールの本質なんですね。

女の子でファッションに興味があるなら、ファッション用語で英語を覚えればいいんです。

たとえば、アクセサリーの一つに「チョーカー」というものがあると思います。

このチョーク(choke)って言葉には、「首を絞める」という意味があるんです。

チョーカーは、首にぴったりとつく首飾りのことですね。チョーカーは、そこからきている名前です。

ちなみに、プロレスのワザの「チョークスリーパー」も同じ意味です。

テレビのニュース番組を見ると、「ニュースキャスター」が出てきます。

これはニュースを読む人のことですね。キャスト(cast)とはどういう意味かというと、「投げる」です。ニュースキャスターとは、「ニュースを視聴者に投げる人」という意味なのです。

このように、誰でも日常の中で英語を使っているものです。

カタカナ言葉の大半は英語でしょう。ですから、今まで「英単語なんて全く勉強していない」という人でも、その遊びの中に英語の鉱脈があると思ってください。

そこを掘り当てることができたら、「なんだ、あれも英語だ」「これも英語だ!」となって、すぐに意味とイメージがつながります。自分に興味のある分野ならイメージが湧きやすく、言葉の使い方もすぐわかります。

英単語を覚えるのが苦手、という人こそ、ぜひ得意分野から進めてみてください。

5.暗記の効率を上げる6つのコツ

最後に、暗記の効率を上げる方法をお伝えします。

同じ暗記をするにしても、ちょっとした工夫をすることで効率があがります。

漫然と単語帳とにらめっこしていても、覚えられたかどうかわかりにくいものです。

「毎日続けられない」「飽きてきた…」そんな時にも活用してください。

コツ1. 覚えにくい単語を紙に書いて張り出す。

中学生の頃にも、動詞の不規則変化の表などを貼って覚えた人もいると思います。

おなじ感覚で大学入試に必要な単語を、お風呂やトイレに貼ってください。

より厳しくやってやろう、という人は、そこにルールを設定してみてください。

たとえば、「トイレの入り口で単語テストをして、合格するまでトイレに入れない」というルールです。

トイレに入ろうと思ったら、その単語の意味を全部言えないといけない、ということです。

もちろん、厳しくしすぎるとトイレに入れなくなってしまうので、限度は必要です。

注意点は、ただ紙に書いて壁に貼るだけでは、すぐに見慣れてしまって、いずれただの壁の風景になってしまい、そうなると全く意味がない、ということです。

なので、それなりのルールや圧力を設定した方が効果的です。

たとえば、何月何日までに覚える、と期限を決めてその後テストする、とか。

そういった何かしらのプレッシャーがないと人は覚えようとしません。

ぜひ、壁に貼って安心するのではなく、壁に貼ってからも自分に圧力をかけていくような工夫をしていってください。

コツ2.暗記に良いタイミングは「寝る前」

人間には「暗記するのに適した時間」というものがあります。

それは、「寝る直前」です。

なぜなら、朝に覚えても、日中、夕方、夜と、一日の中で時間を過ごしているうちに、いろんな情報が次々と入ってくるので、覚えたいことが一日の記憶の中にうずもれてしまうからです。

そうすると、結局、脳に残らなくなってしまうんです。

でも、夜寝る直前というのは、その後に何もせず、寝るだけです。

暗記したものがいつ強化されるかというと、寝ている時間です。

寝ている時に、脳の中が整理整頓されていくんです。

だから、覚えた後に睡眠をとることが非常に大事なんですね。

昼間に暗記する場合も、覚えたいことを覚えたら少しの時間でも昼寝をすると、覚えたことの定着率がアップします。

もちろん、朝やその他の時間に覚えても無駄だというわけではありませんが、夜、寝る前にしっかり暗記するということが、非常に効率的で効果的なんです。

そしてもう一つ、覚える場所も大事です。

自分の部屋とか、自分の机の前に座って暗記するのも悪いわけではありませんが、

いろんな環境を活かし、外を歩きながら覚えるのもおススメです。

なぜなら、歩くと足の裏が刺激されて、血流がよくなるので脳に酸素がいき、暗記の効率が上がるからです。

どうしても覚えられない単語や語句は、普段いかない場所に行って覚えようとしてみてください。

すると、場所の記憶とセットで覚えられるのです。

その言葉だけを覚えようとするよりも、「あれは図書館で覚えたな」とか「美術室で覚えたな」とか「台所で覚えたな」と、背景と関連させて芋づる式に覚えていったほうが、結果としていろんなことが記憶に残りやすいのです。

どんな時間帯に覚えるのか、と、どんな場所で覚えるのか、ぜひ意識してみてください。

コツ3.「目・耳・口・手」をそれぞれよく使う

多くの受験生を見ていて、特に効率が悪いな、と感じる人の特徴は、とにかく書きなぐって覚えようとする人です。

これは、かなり効率が悪いです。なぜなら、「書く」というのは最も時間がかかる行為だからです。

そもそも「書く」だけで効率が悪い。

そして、書きなぐっていると、人の心理状態は、書きながら覚えようとするのではなく、だんだん惰性になっていって、単なる書く作業になってしまうのです。

こうやって工夫したら覚えられるな、といったクリエイティビティが全くなくなります。

私が高校生の頃、英単語テストで80点未満の人は、単語を100回書いて提出しなさいって言われ、やったことがありました。ノート一面に英単語を書きなぐるのですが、もはや3~4回書いたぐらいから頭が思考停止します。

そこからは友達としゃべりながら書いていて全く覚える気はありませんでした。

100回書いて覚えようとするぐらいなら、1回でいいので、これ以上できないぐらい丁寧に書く、ってことに挑戦したほうが結果として覚えます。

100回まではいかなくても、たくさん書いて覚える、という発想は効率が悪いです。

では、どうしたらいいか、というと、五感を使って覚えるのです。

まずは、目、視覚を使います。単語帳の同じ1ページに10個載っているとして、10個全部を知らないってことは少ないと思います。

まず、知っている、知らない、を仕分けしていってください。

その時に、単語に〇、×をつけておきます。できるだけ、知っている単語には時間をかけないようにしてください。

知らない単語に関しては、まず声に出して音読しましょう。声にだせば、耳に入るので、視覚と聴覚を使うことになります。

それでも、何度トライしても、どうしても覚えられないってなった時に、手を動かして書いていくようにしてください。

それも、いきなり紙に書くのではなく、エアライティングで、空中に書いてもいいんです。

空中でも他の感覚を刺激しているので、頭には入りやすくなります。それをやってから、次に紙に書いてください。

丁寧に1回書いて見る、小さく書いたり、大きく書いたり、色ペンを使っていろんな色で書く、などなど刺激を様々に変えてみてください。そうやって惰性にならない工夫をするのです。

なぜ、そんな工夫が大事かと言うと、暗記って覚えることも大事ですが、もっと大切なのは、必要な時に思い出すことです。

目で見て覚えたことを思い出すときを釣りに例えると、釣り針が1つしかない(視覚のみの)ようなものだということです。

目で見て、耳で聞いて、口で言って、手で書いたら、釣り針が4つあることになります。

釣り針にひっかけて思い出す、といったようなイメージをしてください。

釣り針がたくさんある方が、脳の中に眠っている記憶を引き出しやすいんです。

そういう意味で、五感をフル活用するのがおススメなのです。

何かを覚えたい時、ぜひ五感を刺激して脳にインプットしていってください。

「左脳・右脳」の両方を使う方法もお伝えしましたが、脳だけでなく「目・耳・口・手」をそれぞれよく使っていくことも、効率を上げるコツです。

コツ4.カードを使う

同じ単語帳をずっと使っていると、そのうちスペルではなく、単語の並びの順番で意味を丸暗記してしまったということが起こってきます。それでは、覚えたことになりません。

そういうときには、その単語をカードに書きうつしてください。

また、どうしても覚えにくい、という単語もカードに書いてみてください。

そして、そのカードを無作為に並べてから順に、覚えたかどうかを確認していきましょう。

一瞬で意味が言えるようになるまで繰り返しましょう。

コツ5.長く1回見るより、短く「何回も」見る

一つの単語を見て覚えるとき、じーっとその単語を眺めていませんか?

単語を覚えるときは、一つの単語をじーっと長く見るより、短くても何度も見るほうがより頭に入ります。

それは、脳の意識と関係があります。脳は、最初と最後だけ、覚えようとするからです。

たとえば、学校の先生が授業で板書しますよね。

皆さんは、「先生が何を黒板に書くのかな?」「ノートに写そうかな」って思って黒板をじっと見ますよね?

しかし、先生が何かを話しているときは、板書の字のことを忘れているものです。

そして最後に、先生が「書いたか? じゃあ消すぞ~」となったときに、みんな慌てて黒板の字を見るわけです。

ちゃんと、ノートに書けたかどうか気にしますよね。

たいてい気合を入れて見るのは、最初と最後だけなんです。それは、
単語も同じです。

1分間、同じ単語を見続けたとしても、途中の30秒、40秒って実はあまり見ていません。

気合が入っているのは、最初と最後だけで、たいてい、その間はボーっとしているものです。

1分を1単語に使うなら、1分間じーっと見続けるより、10秒を6回見直したほうがいいということです。

とにかく見る回数を増やして覚える、という方法です。

たとえば英単語を覚えるとき、ずーっと一つの単語を見続けるのではなく、もっと細切れにして、見る回数を増やすのです。

たとえば、10分で覚えたいのであれば、同じ単語を10分間、ずっと見続けても覚えられるものではありません。

それより、1分を10回に分けて、繰り返し見るのです。

一つを長くじっと見るのではなく、パ、パ、パっと、短く区切って見る方が記憶に残りやすいからです。

この方法のメリットは、モチベーションを下げないでいられることです。

「せっかく覚えたと思ったのに、また忘れたなー」とか、「これで意味があるのかな」とか、「自分って駄目だな」と思っていたらモチベーションが下がったり、自信を失ったりしてしまいます。

そう考えるのではなく、「普通、100回かけて覚えられるものを、自分は90回で覚えられた、それってスゴイ、自分って早い、自分って天才だ」って思うようにするんです。

それぐらいの気持ちでやった方が楽しいですし、気持ちもラクに続けられます。100回未満で覚えられたらそれだけラッキーってことです。

100回見るために、1回に10分もかけていたら、1000分かかってしまうわけです。

それだったら、1回につき1秒、2秒、でもいいんです。

そうして、「どこかで見たことあるけど、まだ覚えられてないなー」って気になった方が、潜在意識に入りやすくなります。

潜在意識が「あれ、何だったっけなー」って考えて思い出そうとするから、よく覚えられるのです。

長時間じっと見るのではなく、とにかく回数を重ねていってください。

どんどん何度も何度も回していくイメージで暗記に取り組んでいくことが大事です。

人間の記憶には、短期記憶と長期記憶があります。

短期記憶とは、その名の通り、短期的に保持される記憶のことです。

たとえば、誰かに電話をかけようってなったときに、その場で電話番号を覚えて、パパっと電話をかけて、電話が終わったら忘れてしまう。

このように、用が終わったら忘れてしまうものが短期記憶です。

長期記憶は、逆に時間がたっても頭のなかに残っている記憶です。

年単位にわたって長期間保持されるものもあり、生きている間ずっと保持されるものもあります。

受験勉強では、自分が暗記したものを、「短期記憶」から「長期記憶」へと脳の中で移しかえていくことが必要です。

覚えたての時は短期記憶に入っているので、それを長期記憶に移項しないと、すぐ忘れてしまいます。せっかく覚えても、入試当日に忘れてしまっては意味がありませんね。

では、短期記憶になったものを長期記憶に移すには、どうしたらいいか?

それは、生きていくためには「食べ物が必要」と同じぐらい、「これは覚えておく必要がある」と脳に認識させることです。

脳が、長期にわたって必要だ、と判断した記憶が長期記憶に入っていくのです。

これはそんなに長く覚えておく必要がないなって脳が判断したら、長期記憶に入れなくていい、となって、短期記憶どまりになり、いずれ忘れてしまうんです。

では、どうしたら必要と感じるか?

それが、「反復練習」です。

何回も同じことを繰り返し、脳に何回もインプットさせることで、脳は「これは生きていくうえで必要なんだ」と認識するようになるんです。

そうすると、自然と脳に定着していきます。

覚える気はなかったのに、何度も繰り返しているうちに、しぜんと覚えてしまったってことありませんか?

反復練習するってことは、脳に向かって「これって大事なんだよ、大事なんだよ」って何度も訴えていることと同じ行為なのです。

こういう点から、よくある失敗というのは、「昨日覚えたものを今日も覚えていたから〇印をつけた。でも、1週間見ないうちに、すっかり忘れてしまった」というものです。

昨日から今日まで、といった短期間なら、覚えていられるのは普通です。

しかし、仮に今日覚えていられても、明日には忘れているかもしれません。

だから、明日も反復するんです。

覚えるために1分かかったものなら、明日は30秒、明後日は20秒、その翌日は10秒、もしくは5秒でも、1秒でもいいんです。とにかく反復することです。

毎日反復できなくてもいい、2日か3日に1回でもいいのです。

何度も脳にインプットすることによって「この情報は大事なんだな」と、脳に思わせることが大事なのです。

そうして、すっかり忘れてしまう前に反復して記憶を維持するのです。

ですので、昨日、今日の二日間、覚えていたからOK、とするのではなく、忘れないように定期的に覚えているか確認して維持していくことが大切です。

とは言っても、維持に時間をかけてしまうと時間がいくらあっても足りなくなってしまうので、反復の度に時間を短く、頻度も減らしてしていってください。

そうするうちに長期記憶に入っていき、入試当日はもちろん、入試が終わっても忘れない内容になっていくでしょう。

コツ6.隠して覚える

覚えたい部分を隠して、覚えたかどうか確かめる、というやり方をする人は多いです。

確かに、隠して覚える効果はあります。しかし、その効果を出すには「隠す」ことの目的意識をもつことが必要です。



たとえば、単語を全く覚えていない段階で、隠してテストしても意味がありません。そんな段階で単語テストしても全部×になるだけです。

隠して意味があるのは、自分が覚えたか、まだ覚えてないかを確認したり、実力を試したりして単語を仕分けたい時です。

そのように単語を隠して覚えたいときは、「隠す」タイミングや用途をはっきりさせてから挑戦していってください。

6.英単語暗記でNGな方法

英単語の暗記は、序盤にするべき勉強ですが、序盤の勉強のポイントは、潜在意識にプラスの暗示をかけていくことです。

つまり、序盤の勉強では「英語ができる!」という感覚を育てていくことが重要になります。。

そのために、冒頭にもお伝えしたように、一冊の英単語帳を完ぺきに覚える方法で勉強していくのです。

ですから、英単語を暗記するときに、いろいろな単語帳にあれこれと手を出すのはNGです。

また、あまりに分厚い単語帳を選んでしまうと、途中で挫折してしまう可能性もあります。

まずは、基本的な単語が乗っている単語帳で良いので、「スラスラ、よどみなく、正確に、はっきりと」言えるような状態にできるまで、何度も反復練習をすることです。

そのためには、覚えたかどうかが曖昧になるような、「単語帳の浮気」は避けた方がよいでしょう。

一冊の単語帳を完ぺきに覚えるようにして下さい。

まとめ:使える方法は全部使おう!試行錯誤するほど語彙力はつく

英単語の覚えるために自分なりに試行錯誤していくと、「こうやって覚えると覚えやすい」と言うように、自分の得意な方法が見つかってきます。

ですが、そのうち「得意な方法を使っても、どうしても覚えられない」という単語も出てきます。

そんな時には、「自分が好きじゃない覚え方」や「苦手な覚え方」にトライしてみると、案外、覚えられることもあるんです。



私の場合、覚えたくても、どうしても覚えられない単語が3つありました。

覚え方の中では、「語呂合わせ」があまり好きではありませんでしたが、その3つに関しては、「語呂合わせ」を作ってみたんです。

すると、たった3つしかないから新鮮な感じがして、すぐに覚えられました。

もちろん「語呂合わせ」を100個つくれ、となると嫌になりますよ。

新鮮さもなくなりますから、ムリに作っても効果はないでしょう。

ですが、3つだけだから効果があったのです。

このように、自分の得意な方法も嫌いな方法も、とにかく使えるものは使っていく、というスタンスがおススメです。

ここぞと言う所で「語呂合わせ」してみるとか、「トイレに貼り紙」してみるとか、目標に向かってアレコレ試していく姿勢が大切なのです。

大学受験を突破するためなら、何でもやる、使えるものは全部使ってやる、

ぐらいの姿勢で英単語にぶつかっていってください。

一度覚えた単語をまた忘れることを恐れたり、なかなか覚えられなくて落ち込んだりする必要はないんです。

時間がもったいないですから。

モレがあったら覚えなおせばいいですし、忘れたらまた違う方法で覚えればいい。

気をラクに、そして前向きに、積極的に、英単語とつきあっていってください。

以上です。

英単語」の覚え方~10の記憶法と6つの暗記テクニックについてお話しました。