才能を発揮する子どもの親御さんは、何を大事にしているか

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キョウコ

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塾スタッフ。塾生さんや、塾生の親御さんと、いろいろなお話をしながら、塾生と先生の間をつないでいきます。そうして見えてきた塾の魅力を、より多くのかたにお伝えしていきます! 

こんにちは。

先日の保護者様向け勉強会は

「自立」つまり「親離れ・子離れ」がテーマでした。

 

「親離れ、子離れ」をすると、どんないいことがあるかご存じですか?

たくさんある中から、今回は「才能発揮」の事例をご紹介しましょう。

 

将棋界の超新星・藤井聡太さんはどう育てられたのか

 

若いうちに、親離れ、子離れを果たしたおかげで、

才能が発揮された事例と言えば、いろいろあります。

 

極端な例をあげれば、

才能を発揮して10代で超有名になってしまう例です。

ビジネスを作り上げて大きく稼いだり、

スポーツや芸術で才能を開花したり。

 

そのような子の親御さんって特別な人に違いない、と思いがちなんですが、

実は、けっこう普通の方が多いものです。

 

将棋界で有名になった、藤井聡太さんもその一人でしょう。

史上最年少(14歳2か月)でプロ棋士。

過去に中学生でプロ入りしたのは、羽生さんを含めてたった4名です。

 しかも、ここ数日のタイトル戦でも見事に連戦連勝をおさめ、毎日のように報道されていました。そしてついに16日には最年少でタイトルを獲得。

 これって、どれくらいスゴイことかと言うと、

 野球に例えたら、高校3年生で甲子園を飛び越えて、プロの球団に入り、さらにホームラン王になってしまうぐらいのこと。

 普通はありえないスピードで才能が開花しているのです。

そんなにスゴイ子なら、特殊な環境で育ったんだろうな、とか、

両親ともに将棋の達人にちがいないって思いそうですが、全然ちがうのです。

一般的なごく普通のご家庭です。お母さんは、専業主婦で、将棋のルールも知らない、とか。お父さんは、会社員。特に、幼いころに将棋を熱心にやらせたかったわけではないそうです。

では、聡太さんは、どうやって将棋の世界に入っていったのでしょう? 

 

藤井聡太さんが、将棋に出会ったきっかけは5歳のとき。

ルービックキューブで遊んでいるのを見て、祖母が将棋の盤を与えてみた。すると興味を示したので、将棋のルールを教えると、またすぐ覚え、将棋をうちはじめだしたと言われています。

そんな聡太さんを見て、御両親はただ応援だけして見守っていたそうです。

お母さまは、かつて聡太さんの育て方についてこのようにコメントをされていました。

「いつも本人のためにどうしたらいいのかは考えますが、なるべく本人に押し付けないようにと考えています。本人が思うことを尊重し、応援していきたいです」

 

親は、心配したり、口出ししたりせず、

ただ、応援する気持ちで見守っていた。

ここに子どもが才能を発揮する秘密があるようです。

 

 受験生が才能を発揮する進路選択をするには?

でも、こういう話って、10代で将棋のプロになった天才の話であって、

特別な人の特殊な事例なのでは?

と思う方もおられるかもしれませんが、そんなことはありません。

 

子どもの才能が発揮されるかどうかについて、

どんな親子にもあてはまるルールがあるのです。

 かつての塾生で、方向転換して才能を発揮し、成功した女の子がいました。

エリさんは母子家庭であることもあり、お母さまは、将来、エリさんが仕事に役立つ資格や免許が取れる薬学部に進ませたいと望んでいました。

 エリさんも特にやりたいことがなかったので、「お母さんの言うとおり、資格があると将来いいんだろうな…」と思って薬学部を目指していました。

ところが、夏の終わり頃に受けた模試が返ってくると、期待した以上に成績は上がっていなかったのです。

成績を見てエリさんは「進路について考え直したい」とお母さんに言いました。

 そこでお母さまは、エリさんの気持ちをくみ取り、「先生にも相談してみたら?」と提案し、三者面談をすることになったのです。

 

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エリさんの進路相談を聞いて、柏村先生はこのようなお話しをされました。

「資格がとれるから、を理由に、学部を選ぶのは注意が必要です。

 もちろん、それが心から望む進路なら問題ないでしょう。

だけど「不安だからとか、仕事になるから、といった理由で、とりあえず資格を取っておこう」といった動機では、後々困ったことになる可能性があるんです。

 やってみて自分に合っていない、と気づくこともありますし、他に勉強したいことが見つかることもある。

 そうなると、専門性が高い分野だと、他に応用できないことも多いのです」

 

エリさんとお母さんは、薬学部は特にそうですねと、うなづきました。

 

「だから、もし学びたい分野が見つかっていないなら、急いで決めるのではなく、

幅広く自由に学べて、その後の可能性が広がる学部をおススメしています。

大学に入ってから、学びたいことが見つかる人もたくさんいますから」

 

これを聞いてエリさんは言いました。

 

「先生、わたし、今までやりたいこともなかったし、将来も不安だから、

お母さんから言われたとおり薬学部に行くつもりでした。

でも、勉強すればするほど、なんか違う…という気持ちが沸き上がってきて…」

 

この言葉を聞いたお母さまは、「自分で思うことがあるなら、好きなように受験したらいいよ」とすんなり認めてくれました。

「じゃあ私、柏村先生の言う通り、幅広く学べそうな学部を受けたい。

それなら安心して、もっと頑張れそうな気がするの」と。

エリさんは、自分の本心を言えたからでしょうか。

面談の後、急激に成績が上がりだしました。

自分の変化を体感したエリさんは、幅広く自由に研究している大学を受けて合格。

大学に進学してからも、エリさんは自分でも驚くほど積極的に教授に質問にいったり、自発的に調べものをしたり、まるで別人のように変わったそうです。

そして4年後には、もっと研究したいから大学院に進むことにした、と報告をもらいました。

 

このように親御さんが心配して先回りするのではなく、

本人の自発的な思いを尊重するようになってから、

子どもの才能が発揮されたり、成績が上がっていくことは珍しくはないのです。

 

まとめ

子どもが才能を発揮するために必要なことは……

・将来への不安から進路を選択しないこと。

・子どもの自主性・自発性に任せること。

親から見れば、子どもはいつまでも子どもです。

社会のことを何もわかってないのに任せられない、と思われるかもしれません。

頼りなく見えても、それでも成長を信じて応援しつづけていれば、

子どもは、自分の道を自分で見つけ出すもの。

そういった自発的な部分から、才能が芽生えてくるものなのです。

 

※どうしても子どもだけに進路を判断させるのは不安だと思われる場合は、信頼できる第三者(学校や塾の先生など)に預けると良いでしょう。